inSANe『ターレント・ガンナー:松瀬成之/掛井四辻』 GM:紙箱みど
GM
▽初期狂気の確認
【PC1:松頼 成之】
 あなたはこの病院に入院している患者だ。
 なんの病気かは知らないが、二ヶ月前にやってきた同室の相手とは仲良くやっている。
 あなたの使命は【生きること】だ。
 初期狂気1
[ 松頼成之 ]狂気:疑心暗鬼
トリガー:同じシーンにいる自分以外のキャラクターがファンブルする
初期狂気 : 1
【PC2:掛井 四辻】
 あなたはこの病院に最近入院してきた患者だ。
 なんの病気かは知らないが、先輩患者とはうまいことやれている。
 あなたの使命は【生きること】だ。
 初期狂気1
[ 掛井四辻 ]狂気:予知夢
トリガー:シーンが終了する

この初期狂気は秘密1が公開されたシーン末に発火する
初期狂気 : 1
GM
▽シナリオ開始
GM

                   *         *        

GM
 
GM
 
GM
知らぬ間に、その身は蝕まれていた。
知らぬ間に、その身は整えられていた。
GM
生命の急流を今乗り越えろ。その先にあるのは、あなたの選択。
GM
 
GM
 あなたを救うための引き金を引いて。
GM
 
GM
inSANe「ターレントガンナー」
GM
 
GM
 
GM
 

GM
▽導入 登場:PC1
GM
(PC2が入院し、同室になる初日のシーンです。PC2は後から登場していただきます)
GM
――穏やかな風が吹いている。窓の外、いつもと変わらない景色。
GM
さて、あなた――松頼さん。あなたは普段、この病室で何をしていますか?
松頼 成之
いつもと変わらぬ窓辺、ベッドの上。
お茶を片手に手帳にスケッチ 万年筆のペン先をぐりぐり。
これも日々の暇つぶし。日課のようなもの……
GM
あなたの部屋は二人部屋です。
GM
つい先日、隣にいた人間はいなくなりました。それが「退院」なのか、それとも……なのか、あなたには知る由もなく。
GM
もはやそれは、あなたにとってはよくあることです。
GM
コンコン……と、部屋の扉がノックされます。これもまた、いつものことですね。
松頼 成之
その気配に、手を止める。
看護師
「松頼さーん、定期検診の結果とあと今週の採血でーす」
GM
見慣れた看護師が病棟を回っているのか、カートを転がしながらやってくる。
松頼 成之
「あ~はいはい、いつものやつね~?」
 さっさと手帳をテーブルに放りなげると、ペンを置いて腕をまくり。
看護師
「まあまあいつものやつって言ってもね、もうチクッとしますよ~すら古い言い方になっちゃったし……」
GM
看護師の手には比喩ではなく拳銃型のものが握られています。
松頼 成之
「はは、そりゃそうだ。
 そろそろグレードアップしたりしねぇんすかね。」
GM
これが現在主流になっている、静脈認証を行うと同時に、適切な位置に痛みの少ない針を刺す注射器です。
GM
かつて存在していた昆虫である「カ」の口吻をモデルにしていて、刺したあとの止血すら不要になりました。
松頼 成之
「なんかこう、あるじゃないすか、装備追加されたりとか
 カートリッジがマシンガンになったりとか……」

拳銃を構えるポーズ。連射銃を打つようなジェスチャー。
看護師
「マシンガンは欲しいかもしれないけど取り違えがあったらヤバすぎるかんね、多分ないよ」
GM
そうしてあなたの差し出された肘に銃口が押し当てられると、細い液晶画面に「NARIYUKI MATSUYORI」と表示されます。ハイテクですね。
松頼 成之
「ふ~ん、残念。なんか地味なんすよね。
 日々代わり映えしないっつーか 最新の技術も見慣れたら飽きるっつーか…」
看護師
「そりゃこっちのセリフだよ~」カシャン。まったくもって軽い、トリガーが引かれる音。
GM
それだけでもう、必要な量の採血は終わっています。痕も痛みもありません。
看護師
「あ、そうだそうだ松頼さん。ひとつ言うことあったわ」
松頼 成之
「ん、なんすか?
 うまい病院食の提案とかならばっちこいすけど……」
看護師
「ここはうまい方だよ!!じゃなくて」
看護師
「隣、また新しい人来るよ。今日から。たぶんもうちょっとで連れてこられるんじゃないかな」
松頼 成之
「お!?新入り!? なになに、次はどんなヤツ?
 次こそ女の子…できればムニッとかわいいちっちゃい感じの…」
看護師
「ざーんねん、男」無慈悲
松頼 成之
「ああ~~~~入院ガチャクソかよ~~~」
看護師
「諦めろ諦めろ。そんじゃまた来週~だといいな。健康第一頼むぜ」がらがら……とカートを押して去っていく。
GM
ドアは開いたままだ。
松頼 成之
「ひで~~!!じーさんとかばーさんとか、
 不健康そうなヤツばっかなのも~勘弁じゃん……」
松頼 成之
「次は面白いヤツ連れて来いよな医療従事者~~!」
松頼 成之
カートをブーイングで送り出す
主治医
「――というわけで、こちらがあなたの病室になります」ブーイングを睨みつけるようにしながら、誰かを連れた白衣の男が入ってくる。あなたの主治医だ。
松頼 成之
「ってうわ、出た!!」
主治医
「少々隣の方がうるさいかもしれませんが、そのときは言ってくださいね。黙らせますので」圧を掛けている
掛井四辻
「はーい! ありがとうございまーす!」
元気よくお返事。
松頼 成之
「うるせぇヤブ医者~~!
 とっととここから出しやがれ~~」
ブーイング続行
掛井四辻
そして、病室の中にいるもうひとりを見やって、ぺこりと頭を下げる。
松頼 成之
「ああ、お前が新入り? ど~もど~も!
 うるせぇ隣人こと松瀬ですぅ」
 にこっと笑って、主治医にガンつけている。
主治医
涼しい顔でガン無視している。「掛井さん。ある程度落ち着きましたら2階の診察室の方へいらしてくださいね」
掛井四辻
「こんにちは! 今日からこちらでお世話になります、掛井四辻です!」
病人らしくもない元気いっぱいのご挨拶。
「松頼さん、ですね、よろしくお願いします!」
松頼 成之
(こんのクソやろう~~!!)

この攻防も日常茶飯事なのだろう。いつもの調子で圧を送っている。
掛井四辻
「診察室ですね、わかりました~」
主治医にはいたって従順そうだ。
主治医
その他病室での最低限のことを告げると、主治医はふたりのいる病室を出ていきます。
GM
(2人の関係がある程度構築されたなと思ったら時制が動きます。)
掛井四辻
「いやー、誰かとご一緒するの、初めてだから緊張しちゃいますね~」
全く緊張などしていない感じの、のんびりとした調子で自分の荷物(ほとんどないが)をベッドに置きながら。
松頼 成之
「あ~クソ!朝から気分わりィ~!
 なんでウチの主治医はああなのかね……
 せめてセクシークールな女医さんとかなら日々のハリってモンが…」
松頼 成之
「……っと、失礼。 こういうシチュははじめてかい?
 え~掛井君?四辻くん?それともヨツ君?」
掛井四辻
「あっ、なんかすみません、かわいい女の子でもセクシークールでもなくて」
掛井四辻
「四辻って呼んでもらえると嬉しいです。名前、気に入ってるんです。
 松頼さんは、お名前なんていうんですか?」
松頼 成之
「あ~いいのいいの。暇つぶしだから。
 コミュニケーション、やりとりに特に意味なんてないからさ。」
松頼 成之
「んじゃ四辻君な!
 俺は成之、成り行き任せのナリユキよ。」
掛井四辻
「なりゆきさん。なりゆきさん、か~」
繰り返す。確かめるように。
松頼 成之
「なに、そんなに珍しいか?」
松頼 成之
ひょっこり 覗き込んで隣に座る。
片手にはいつの間にかシュークリームがふたつ握られている。
掛井四辻
「珍しいかどうかはよくわかんないですけど、なんだか、声に出したくなるお名前ですね」
松頼 成之
「……なんだそれ。
 俺そんな事思ったこと一度もねぇわ!
 どっちかってーと四辻の方がよくねぇ?」
掛井四辻
「そうですかねえ~?」
きょとんと首を傾げながら。その手に握られたシュークリームを見やり。
「あ、お菓子」
松頼 成之
「なんつーかパっとしねェっていうか華がねェってか…
 人生計画上、ぜってー致命的だと思う訳よ。」

あ、いる? もうひとつを手渡して。
GM
病室の壁には菓子類持ち込み禁止と手書きでデカデカと書かれた貼り紙が貼ってあります。
掛井四辻
「素敵なお名前だと思うんですけどねえ。なりゆきさん。何事も過程と結果によるものです、人生そのものって感じじゃないですか」
掛井四辻
渡されたシュークリーム、そして張り紙をちらりと見て。いいのかな……という顔をした。
松頼 成之
一体どこからくすねてきたのか。
どっかしらの売店か…それとも別の闇のルートがあるのか。
出所の知れないそれはプレミアム!とでかでか描かれている。
掛井四辻
闇のルートの予感にごくりと唾を飲む。プレミアムだ。
松頼 成之
耳元まで近づいてこっそり囁く。

「……おまえ、知ってるか?
 ルールはな、破る為にあるんだよ。」
掛井四辻
「それは初耳ですねえ~」
絶対これ後で怒られるなぁ~という顔。
松頼 成之
「少なくとも俺は成り行きなんて御免被るね!
 俺はこんなとこに収まる器じゃねぇの、もっとビッグにならねーと!」
松頼 成之
「お前もここの病室に来たからには……」
 がっしとつかんで。
「乗ってもらうぜ?この大船によぉ!」
掛井四辻
「じゃあ、これからもっともっとビッグになる人とご一緒できることに感謝しなきゃですね。サインもらっといた方がいいですかね?」
掛井四辻
「ってうわーーーーそれは大船っていうか泥船だったりしませんか??????」
松頼 成之
「オオン?これを泥船っていったか?
 はは~んお前、さては信じてねーな??」
松頼 成之
「いいか?よ~く聞けな。
 この世はでっけー大海原なのよ。
 流され流され続けていればただただ溺れるだけ……」
松頼 成之
「乗るなら泳げ、道は切り開け!
 引かれたレールの先は闇だ!
 俺はそうして溺れたやつをたくさん見てきた……」
松頼 成之
「俺ってば、お前にはそうなってほしくないワケ。わかる?
 生きる為に食いたまえ! なぁ、あたらしい友、四辻君よ。」
松頼 成之
これは理不尽な主治医に対する反逆!
悪魔のささやきはプレミアムなシュー……
掛井四辻
「ええと、確かに聞かせていただきましたけど、結局それってルール破りの言い訳ですよね?」
そう言いながらも、プレミアムのシューを一口。
掛井四辻
おいしいー
松頼 成之
「なに?お前も主治医派?裏切り者めっ……!」
 ……デュクシ!わき腹をつついて邪魔をしつつ。
「ま、どっちにしても俺は生きてっしな。多少問題ねぇだろ。」
掛井四辻
「きゃー」
デュクシされつつ。
「そうですね、なりゆきさんは生きてますからね~。問題がないかどうかは僕にはわかんないですけど!」
言いながらもにこにこしている。
GM
――そうして怒られたり、怒られなかったり、呆れられたり。
GM
始まった相部屋生活は、大抵の場合松頼さんが何かの刺激を持ち込んでは、怒り怒られ、睨み睨まれ、であったことだろう。
GM
手帳の絵を見てはなにか言い合った日もあったかもしれない。
GM
手帳にシュークリームが描かれた日もあったかもしれない。
GM
ただ、時だけが流れていって、そして二ヶ月が経った。
GM
 
GM
そう、時だけが流れていって、なにひとつ変わりはしないのだ。
GM
治療の中身。日々のルーチン。病院食の内容。
GM
なにも、なにひとつとて、変わることはなかった。
GM
 
GM
▽ハンドアウトを公開する。
【病院の廊下】
 真っ白いリノリウムの廊下。行き交う人々は真っ白い白衣と、手袋と、マスクをした人だけだ。
【スタッフ詰め所】
 病院のスタッフが慌ただしく仕事をしている。余裕があるときは、こちらに挨拶をしてくれることも知っている。
【???】
 中の伺えない、病室でもない部屋が、この病院にはいくつもある。そのうちのひとつ。
 このハンドアウトは特定のプライズを所持していないと調査できない。
GM
 
GM
 
GM
▽1-1:PC1
松頼 成之
日々、同じ事のくりかえし。
四辻が来てからもそのルーチンは変わらない。
同じ治療、同じ手続き。手帳に絵を描き、記録する。
松頼 成之
他にやることがあるとするならば……
松頼 成之
「……………。」
主治医がいないことを確認して、
壁伝い、こっそりと病室を抜け出す。
GM
人の気配は少なく、ピリピリした例の人もとい主治医の気配もありません。
掛井四辻
「いーけないんだいけないんだー、先生に言っちゃいますよ~?」
その背後からちいさな声。
松頼 成之
「オワッ!?」
 ぎょっとしてふりむく。
松頼 成之
「び~~っくりしたぁ……!
 んだよ、急に出てくんなよも~~ は~心臓止まるわ!」
掛井四辻
「へへ、急にお部屋を出ていくから、どうしたのかな~と思いまして!」
一応小声。
掛井四辻
「心臓が止まっちゃったらめちゃくちゃ困っちゃいますね~」
松頼 成之
「なに、お前もトイレ?それとも検査帰り?」
 しらばっくれているが、こうして抜け出すことは再々あるようで。
 多分毎度こうして何かを調達してくるのだろう。
松頼 成之
「いっそ止まっちまったら笑うんだけどな!
 そしたら主治医もアワ吹いてぶっ倒れんだろ!!」
 ガハハ!悪い患者の笑い。
掛井四辻
「ちょうど今日の診察が終わったところだったんですけど……、どこ行くんですか?」
今まで、何だかんだ抜け出していくのは見ていた。ついて行くようなことはなかったけれど。気になっていなかったと言ったら、嘘になる。
松頼 成之
「ただの散歩!!」 では絶対にない。そういう顔だ。
掛井四辻
「お散歩、よいですね~、僕もご一緒してもいいですか?」
全然信じてない顔だ。
松頼 成之
「え~……付いてくんの?ほんとに?」
 嫌そう。
「別にいいけど……ぜってーチクんなよ??」
松頼 成之
「……あっ。」 しまったという顔。
 ほぼ自白したに近い状態、おおよそ脇が甘い男である。
掛井四辻
「へへ」
にっと笑って。
「言いませんよ、だいじょぶです」
松頼 成之
「ほんとかよぉ~… ぜってー見つかんじゃねぇぞ?」
 渋々といった様子で、袖をついついと引いて。
 リノリウムの道を行く それは普段立ち入らないような狭い場所。
松頼 成之
壁には思い切り『関係者以外立ち入り禁止』と書かれている。
掛井四辻
普段は、診察室と病室との往復だけで。それ以外の場所に立ち入ることなど、ほとんどない。だから、もちろん、『関係者以外立ち入り禁止』の場所なんて……目にしたことすら、なかったかもしれない。
松頼 成之
 誰もいない階段を降りて、降りて。
 非常口の印のついたシャッターを潜る。
「……おし、誰もいないな。 ……行くぞ。」
掛井四辻
「……はーい」
ぴょこ、とその後ろからついていく。
GM
そろそろ判定してもらおうかな。調査対象と特技指定を。
松頼 成之
抜け出した先には白い廊下。
売店の場所、お菓子を常備する冷蔵庫、職員用の休憩所。
ここの地理にもだいぶ慣れてきた。
松頼 成之
けれど、広い病院内、網羅するには時間もかかる。
他に何かがあるとすればこの辺り……
松頼 成之
日々積み重ねた手帳の記録。観察眼はこういう時に役に立つ。

辺りを見回して 芸術 で、【病院の廊下】を調査で!
GM
OK。判定どうぞ
松頼 成之
2D6>=5 (判定:芸術) (2D6>=5) > 7[1,6] > 7 > 成功
GM
いいですね。秘密をお渡しします。
GM
嘘ついた。お渡ししますっつったけどこれ拡散だ。
GM
PC1は正気度を1減らしてください。
[ 松頼成之 ] 正気度 : 5 → 4
松頼 成之
……最初に感じたのは、些細な違和感。
やけに白い景色。やたら清潔で無機質な空間。
松頼 成之
廊下を進めば進むほどにそれは病院のそれとは違っていて。
「……なんだここ。」
GM
あなたがそっと手をついた壁が、かすかに動く。
GM
カコン……と小さな音が鳴る。ほんの少しだけ隙間ができていた。
掛井四辻
「……なんか、変なとこに、来ちゃいましたね……。お部屋に帰りませんか?」
それとも、と。小さな音、生まれた隙間。
松頼 成之
「うわっ……!」
 物音にびくりとしてから、手のひらの先を確かめる。
松頼 成之
……隙間だ。
掛井四辻
「先、見てみます?」
強いて、わらってみせる。
松頼 成之
「おまえ……ついてくんの?」
掛井四辻
「ええー、ここまで来て追い払うつもりですか? 傷ついちゃいますねえ、一蓮托生って言葉もあるじゃないですか~、いい言葉ですよね、一蓮托生!!」
松頼 成之
「あ~ん?一蓮托生だあ?
 俺の大事なプレミアムシュー渋った癖によ~」
もちろん初日のアレだ。
この男、根に持っているのか度々突いてくる。
掛井四辻
「おっとそれを言われると弱いですねえ」
むう、という顔をしつつ。
松頼 成之
「俺さ~あのあとめ~っちゃ怒られたんだよねぇ~
 なんでかわかるか~?なんでかわかるか~??」
掛井四辻
「それは、なりゆきさんがルールを破ったのがバレたからであり、僕はちょーっとだけその後押しをしただけですね」
全く反省のない顔をしている。
松頼 成之
「帰れ!!」
松頼 成之
「この先は俺一人で行く。
 お前やっぱり信用ならねぇわ…」 隙間に手をかけながら
掛井四辻
「言わないっていったじゃないですか。言いませんよ、本当に。それに」
掛井四辻
「……何だか、心配なので。なりゆきさんが、一人でいるのが」
松頼 成之
さっきからずっと。嫌な予感がしている。
繰り返し繰り返し。思い出す。手帳の記録。
今まで辿ったいくつもの景色、点と点。
松頼 成之
この場所はどう考えても病院などではなかった。
ここはなんだ?あいつはなんだ?俺は何をされている?
それに……こいつはどうして付いてこようとしているのか。
松頼 成之
「いいから帰れよ。俺はずっとひとりでいたんだ。
 お前が来てもな~んも変わっちゃいねぇ。
 心配される義理もねぇっての。」
掛井四辻
「……………………」
その言葉には、黙り込む。それから。
掛井四辻
「……へへ、それはそうですね。僕がなりゆきさんのことを心配しても、なりゆきさんは嬉しくないですよね」
あくまで朗らかに言い放ち。
掛井四辻
「でも、うん、心配してるってことは、伝えたかったんです。……何も変わらないとしても。むしろ、変わらない方が、よかったとしても」
掛井四辻
そう言って、地下室の扉の前に立つ。帰れと言われても、動く様子はない。
松頼 成之
「…………いや。」
 少しの沈黙。そして、震え。
「悪かった。……うん、やっぱ疲れてるみたいだわ。」
松頼 成之
「帰るか!」 ほがらかに。
GM
 
GM
▽1-2:PC2
掛井四辻
自分には、なりゆきさんのような驚きはなかった。「どちらでもそう変わりやしない」……、そんな風に思ったから。
掛井四辻
ただ。
掛井四辻
自分もまた、確かめたいとは思った。……何かが隠されているままだというのは、あまりにも、……。
掛井四辻
少しだけできた、隙間に触れる。地下室を調査。特技は《手触り》。
GM
OK。判定どうぞ。
掛井四辻
2D6>=5 (判定:手触り) (2D6>=5) > 6[2,4] > 6 > 成功
GM
あなたはそこを開けた。
GM
白いリノリウムが、突然コンクリートに切り替わり、そして。
GM
秘密をお送りします。
GM>掛井四辻
【地下室】
 真っ白い空間とは急にかけ離れた、暗く冷たいコンクリートの空間。
 入り口は巧妙に隠されている。
秘密:
 ショック:全員
 手術着を着て、腹部や目玉、あるいは脳までをくり抜かれた死体が大量に転がっている。どの死体もみな、色が白い。
 【死】で恐怖判定。【地下プラント】を公開する。
掛井四辻
正気度減らします。
[ 掛井四辻 ] 正気度 : 6 → 5
掛井四辻
恐怖判定します。
掛井四辻
2D6>=8 (判定:医学) (2D6>=8) > 5[1,4] > 5 > 失敗
掛井四辻
一枚引きます。
GM
では……新規ハンドアウトが公開されます。PC2は狂気名を個別タブで申告してください。
[ 掛井四辻 ] 狂気カード:狂気:現実逃避
トリガー:自分の【正気度】が減少する。
1 → 2
(顕在:0)
【地下プラント】
 暗く冷たいコンクリートの空間の奥から、液体が流れるような音が聞こえてくる。巨大な構造物の中に、液体が流れ込んでいるのが見えた。
GM
あなたたちが見たものは、丁寧に覆われた白とは違う、無機質な打ちっぱなしのコンクリート。
GM
それと、物陰の何かと、そのさらに奥にそびえ立つ巨大な構造物。
掛井四辻
「あ……」
物陰の「それ」を目にして、ぐらりと視界が揺らぐ。
掛井四辻
吐き気を催すのは、……この、空間のせいか。それとも目にしたものによる精神的なものか。もしくは、そのどちらもか。
掛井四辻
手を握る。足を踏みしめる。なりゆきさんの前に立つ。少なくとも、自分が目にしたものは見えないように。
松頼 成之
「……………」
 その空間の外に。揺らいだ背後に。
 その男はいる。
松頼 成之
「……わっっ!!!!」
 大声。
 後ろから急に押す。 その空間へ押し込むように。
掛井四辻
「わっ!?」
押される。押し込まれる。
掛井四辻
「やめてくださいよ~もう~」
それでも、何とか、踏みとどまろうとする。
いつもの調子で言いながらも、酷く顔色が悪いのは、見て取れるかもしれない。
松頼 成之
それは明らかに悪意や作為を持って行われる行為。
ふだんなら「いたずら」ですむようなこと。
けれど、この男は そうでないことを知っている。
松頼 成之
「何?」

「なんかあったワケ?」
掛井四辻
「……………………」
何もなかった、と言うにはあまりにもあんまりで。
掛井四辻
「そうですね。ただ、二度と見たくはないですし、言葉にしたくもないです」
だからどこまでも率直に。言葉を吐き出す。
松頼 成之
「ふ~~ん?」 あくまで。あなたをじっと覗き込む。
 そこにあるのは好奇心。観察するような両の目。
「つまりそれってお前の弱味ってこと??」
松頼 成之
 あえて大袈裟にそこへ踏み込む。
掛井四辻
きょとん、とする。
掛井四辻
「うーん、僕が見ても嫌だって思うくらいなんですから、多分誰が見ても嫌なものじゃないですかね?」
弱味、と言われたことがよくわかっていない、という顔。
掛井四辻
「なので、見てほしくない、です。きっと嫌な気持ちになる」
松頼 成之
「…………言葉にもしたくないくらいのものが?」
 くるり、と。あなたの方をみる、眼差しに込められた疑念。
松頼 成之
男の後ろにはたぶん『それ』がある。
掛井四辻
「……それとも、なんかすごくやーな感じのものを好き好んで見たいタイプですか? いやあ、なりゆきさんは物好きですね~……、なんて」

いつもの調子で言いかけて、止まる。
掛井四辻
「………………見せたくないんです。だって、こんなの」

目に焼き付いた光景を、振り払うように。首を横に振る。
松頼 成之
「……じゃ、
 『貸し』ひとつな。」
松頼 成之
「お前に俺は今、貸しをひとつ作った。
 これはお前への信頼。『おまえのために』見ないでやる。」
松頼 成之
「……意味、わかるか?」
掛井四辻
ぱちり、と、目を瞬かせる。
松頼 成之
「わかんねぇか。……なら素直に言っとくな。
 俺は、『お前を信用していない。』」
松頼 成之
「ただ、お前の事は嫌いじゃない。
 好意を持って接しているつもりだ。
 ……一応 いまのところは まだ、な。」
松頼 成之
ただ静かに、冷たいコンクリートの床を進む。
瞳の奥は暗く あなたからゆらりと視線を外した。
空間に 反響して冷たい音が響く。
松頼 成之
「……これはお前への『信頼』の、『貸出し』だ。」
 濁った瞳は未だ、僅かな疑念が宿っている。
 おまえは一体何者であるのか。おまえは何故ここにいるのか。
松頼 成之
この場所が一体どういう場所であるのか。
GM
靴の音に加えて、何か液体が流れる音が聞こえてくる。
掛井四辻
ゆっくりと、頭を巡らせる。
コンクリートの床を進んでいくその姿を見やる。
掛井四辻
「……なんとも、重たい借りを作っちゃいましたね」
ちらり、もう一度だけ。今は陰になって見えない場所に視線を向けて。
掛井四辻
……ああ、体が重い。この場所にはこれ以上いたくない。いたくない、けれど。
掛井四辻
………………それ以上を、望むべきではないのかもしれないと、わかっていながら。
掛井四辻
あなたが行くなら、その後を追うだろう。
GM
▽PC2の生命力が1点減少する。
[ 掛井四辻 ] 生命力 : 6 → 5
GM
 
GM
▽2-1:PC1
松頼 成之
コンクリートの道沿いに進む。
目線の先にあるのは『病院』にはそぐわない建造物。
松頼 成之
「お前さぁ、"アレ"なんだとおもう?」
 いつもの調子で問う。足取りはゆっくりと静かに。
掛井四辻
「何でしょうね……。なんか、工場にありそうな感じですよね。何か作ってる……?」
ぽつり、ぽつりと言葉を落とす。顔色は相変わらず悪い。
GM
あなたたちが知りうる知識で例えるのなら、水槽……がもっとも近いだろう。
GM
ただ、泳ぐ魚は見当たらない。
松頼 成之
「俺これでも昔はさぁ、画家になりたかったんだよね。
 ゲージュツ。ビジュツ、わかる?
 あっちこっち飛び回って~、絵ェ描いて……旅すんの。」
掛井四辻
「……絵を描いて、旅する……」
言葉を繰り返しながら、目を細める。
「旅、かぁ……」
松頼 成之
目線の先には大きな水槽のようなもの。
覗けどただ液体の流れる音が聞こえるだけ。
水族館のように泳ぐ魚はいない、無機質な建造物があるだけ。
掛井四辻
「昔は、と言いましたね。……今も、絵を描いて、旅したいと思いますか?」
それを聞いていいのかどうかはわからなかったけれど、何となく、聞かずにはいられなかった。
松頼 成之
「……そ、旅。
 大空の下で大海を見て、この足で大地踏みしめて。
 ってもまぁ、人生甘かぁねえからな。」
松頼 成之
かかとを鳴らす。長い病院生活でやせ細った枝のような足。
歩き回ると言っても、病人にとって生活の拠点はほぼベッドの上だ。
旅には程遠い。
松頼 成之
「……今は、どうだろうな。
 わかんねぇよ。だって、なんもねぇもんここ。」
松頼 成之
構造物に沿って歩いていく。
大地を踏みしめる為の足は随分頼りなくなってしまった。
思い描いていた未来とは随分かけ離れてしまった。
掛井四辻
「そっかぁ……」
その言葉を受け止めて、ぽつりと。
「僕は、いつか、海というものを知りたいと思ってます」
松頼 成之
「へえお前、海見たことねぇの。」
 そういえばあまり昔の話は聞いたことがない気がする。
「なに、内陸っ子とかそういうやつ?」
掛井四辻
「……なりゆきさんは、初めて会ったときに、この世は大海原だって話をしてましたね。海。……僕は、海というものを、言葉でしか知らなくて」
掛井四辻
「ああ、写真とか、動画とか、そういうもので『見た』ことがないわけじゃないんです。……ただ、本当の海のことは知らないんですよ」
掛井四辻
「僕、生まれつき、体が丈夫じゃないから。……そんなに遠くまで出歩いたことが、なくて」
松頼 成之
「なにそれ。
 なんだ おまえ、引きこもりか? 病院生活何年生?
 したって なんかあんだろうよぉ。それこそ水族館とかよ」
松頼 成之
「体ねぇ……俺には結構元気そうにみえたけど。
 だってほら、今日だってこんなん付いてきたりよ」
掛井四辻
「へへ、生まれてこのかたほとんど病院暮らしですよ~。病室ではなりゆきさんの方が先輩ですけど、ある意味僕の方が先輩かもしれませんね?」
掛井四辻
「なりゆきさんだって、人のこと言えないじゃないですか。こんなあちこちふらふらして~。……まあ、元気そうに見えても、案外、わからないものですからね」
松頼 成之
「ふぅん?意外と苦労してんのなおまえ。
 こういうのもフツーなワケ?
 なんか最新のあれとかこれとか揃ってるっぽいけど。」
松頼 成之
不用意にコンコンと叩いてみる。
病院生活も長くなったがこういう体験は初めてだ。
掛井四辻
「これはどう考えてもフツーじゃないように見えますし、僕も全然わかんないですね」
松頼 成之
「な~に、俺は根っからの冒険家よ。
 どこでもここでも楽しみを見出してなんぼってな!」
その為にはルールも侵す。そのなんと横柄なこと!
松頼 成之
「例えば~ これとか?」
 構造物の一部を指さして。
「見ようによっては崖みてぇだし、遺跡っぽい。」
松頼 成之
「あれが木で、あれが川で……ここが洞窟…
 太陽はねぇから……キノコとかかな。光るやつ!」
掛井四辻
ふむふむ、と素直に聞いている。
松頼 成之
空想をひろげるように、非日常をなぞっていく。
そのひとつひとつに意味を見いだしていくように。

【地下プラント】芸術で調査ですよ!
GM
OK。判定どうぞ
松頼 成之
2D6>=5 (判定:芸術) (2D6>=5) > 6[3,3] > 6 > 成功
GM
秘密をお送りします。
松頼 成之
その打ちっぱなしの大地を踏みしめて
かけだして、潜るように覗き込む。
GM
その目に映ったものは、夢など欠片もありはしなかった。
掛井四辻
「……何か、見えましたか?」
問いかける。こちらからは、何も、見えていない。
GM>松頼成之
【地下プラント】
暗く冷たいコンクリートの空間の奥から、液体が流れるような音が聞こえてくる。巨大な構造物の中に、液体が流れ込んでいるのが見えた。
秘密:
ショック:PC1
よく見ると、人間らしい形をした何かが浮かんでいる……あちらにもそちらにも、そしてすぐそこにも!
【生物学】で恐怖判定。
松頼 成之
2D6>=8 (判定:整理) (2D6>=8) > 6[2,4] > 6 > 失敗
松頼 成之
「…………ッ」
GM
それが答えだ。
松頼 成之
それはある意味で非現実的で。
どこからみても、現実だ。
息が止まる。
勢いよく、その身を引き上げる。
松頼 成之
「……何もない。」
 勢いよく目の前の手を取って引き返そうとする。
 冷たい手が、震えている。
[ 松頼成之 ] 正気度 : 4 → 3
松頼 成之
むずかしいけど…とりあえずカード引きますね。
GM
狂気名を個別タブで申告してください。
[ 松頼成之 ] 狂気カード:狂気:言葉を失う
トリガー:誰かが自分に対するマイナスの【感情】を獲得する。
1 → 2
(顕在:0)
掛井四辻
「……何もないなんて、嘘ですよね」
何も無かったら、そんな顔しない。
けれど、引き返そうとするなら。あなたの手を、握る。
松頼 成之
「………………。」
 答えない。ただぎゅっと握りしめたまま、
 足早にその道を引き返す。
松頼 成之
 冷たいコンクリートの床を蹴る
 その足は徐々に速くなっていく。
松頼 成之
「……こんなとこにいちゃだめだ。
 はやく、はやく、外に出ねぇと……」
掛井四辻
握った手の感触を確かめながら。
こんなところ。一体、何を見たのだろう?
思いながらも、手を引かれるまま。
松頼 成之
つぶやきは、ひとりごとのように、
うわ言を漏らすように唱え、繰り返す。
松頼 成之
構造物を抜け、コンクリートの道を抜け、
階段をかけあがって、白い場所へと戻ってくる。
松頼 成之
そこまでくると、がくりとうなだれる。
慣れない体を無理矢理動かしたからか、息も荒い。
顔色は真っ青だ。
掛井四辻
「なりゆきさん、……なりゆきさん、大丈夫、ですか」
自分もあまり調子はよくないけれど、自分なんかよりもずっと、心配だ。
松頼 成之
「……だいっ…じょうぶに、見えるか??」
掛井四辻
「見えないです。これで虚勢でも張られたらどうしようかなって思いました」
松頼 成之
一瞬睨みつけようかと凄んでみるも
 「…………ならよかった。」
 握りしめていた手に気付いて、ゆっくりとほどく。
掛井四辻
解かれる指。けれど、その手がひどく冷たかったことを、肌で、覚えている。《手触り》。それは自分に与えられた、ものを確かめる手段で。
掛井四辻
「……その、一回だけ。聞かせてください。二度は、聞きませんから」
躊躇いがちに。口を開く。
「今……、何を見たか。教えてもらえませんか。それとも、僕には、言えないことですか?」
松頼 成之
「……ねぇ、それ……俺に説明させる?」
 どちらかといえば、苦い顔。
 あまり口には出したくない、といった様子の表情。
掛井四辻
「わかりました。……言いづらいことを言わせようとして、ごめんなさい」
掛井四辻
「少し、休んだ方がいいんじゃないですか? 部屋に、戻りましょう」
松頼 成之
「……いや、これは俺も……ごめん。」
 首を振る。息を整える。
 まだ耳元で心臓が鳴っている。
松頼 成之
目の前で景色がぐるぐると巡っている。
見つめた目が、こちらを覗き込んでいるような気がする。
松頼 成之
それらをふりきるように、ゆっくりと立ち上がる。
足元がすこし揺らいで 頼りない力で地を踏んだ。
松頼 成之
「……そうだな、戻るか。」
GM
▽PC2の生命力が1点減少する。
[ 掛井四辻 ] 生命力 : 5 → 4
GM
 
GM
▽2-2:PC2
掛井四辻
病室に戻ってくれば、いつもと変わらない風景。
何ひとつとして変わり映えのしない、ただただ、ゆったりとした時間が過ぎていくだけの場所。
掛井四辻
……そのはずだ、けれど。
掛井四辻
何かが決定的に変わったような、感覚が、消えてくれない。
……それは、例えば、知らなくていいことを知ってしまったから、だろうか。
松頼 成之
日の射す病室のほのあたたかい空気。
彼もまた思う所があるのだろう。
帰還後、早々ベッドの上に座り込むと
しばらく。ぼんやりと天井をながめている。
松頼 成之
顔色はずいぶんと良くなった。
しかし傍らの手帳は開いたままで
ペン先は、彷徨い、像を結ばない。
掛井四辻
その様子を、もうひとつのベッドの上から横目に見て。
掛井四辻
「なりゆきさん。僕、ちょっと、お話を聞いてきたいなって思うんです」
唐突に、切りだす。
松頼 成之
「ん~?」 首を擡げて。
 ゆるりといつもの調子を取り戻すよう、そちらの方を向いた。
掛井四辻
「ここの、ひとたちに」
聞いたところで望むような答えが返ってくるとは思っていない、けれど、それでも。
掛井四辻
「……このままじゃあ、何とも……、気持ちよく眠れそうになくて」
松頼 成之
頭の中は先ほどの景色が巡っている。
「……逆に眠れなくなったりしてな。」 少し乾いた笑い。
掛井四辻
「はは、それもそうかもしれませんね」
確かに、目にしたものを考えればそうかもしれない、と思う。自分は、なりゆきさんが見たものを見てはいないけれど。
松頼 成之
「まぁ~好きにすりゃいいんじゃねえの。
 どうしても聞きたいことがあるならそれも…
 ……ああでも、チクりは勘弁な?」
掛井四辻
「あっはは、チクりはしませんよ~何も言わないって約束しましたからね」
松頼 成之
「まぁ、お前の笑顔ほど信用ねぇもんは無いけどな。」
 チョコレートを投げてよこす。もちろんお菓子は持ち込み禁止だ。
松頼 成之
ついてくわ。 とばかりに重い腰を上げる。
賄賂にしては少し効果薄かもしれないが、まぁいつものこと。
掛井四辻
「そりゃあもう! 信用ないことに定評のある僕ですから!」
意味もなくはつらつと。投げられたチョコレートを受け取って、にこにこと笑う。
松頼 成之
「はは、信用させてくれねぇかな。
 それじゃあおちおち寝てもいられんよ。」
松頼 成之
舌を出して、首を掻っ切るジェスチャー。 
掛井四辻
「はは、そのくらいスリリングな方が張り合いがあってよくないですか?」
松頼 成之
「虎穴に入らずんば虎子を得ずってか。
 それとも……火に入る虫の方が近いか。」
掛井四辻
「ミイラ取りがミイラ!」
知ってる言葉を言いたいだけじゃないか?
松頼 成之
「ああ、それめっちゃ最悪。
 ……や、ミイラならまだいいか。死人にゃ口がねぇからな。」
松頼 成之
「まぁ、あんま変なこと聞いてまわらねぇように。
 いつもの笑顔で無事乗り切る事。 オーケー?」
掛井四辻
「オーケーですよ」
そんなことを言いつつ、立ち上がって部屋の外へ向かう。当たり前のように。散歩にでも出かけるかのような、気楽さで。
松頼 成之
「ほんとうにわかってんのかね、あいつは……」
 ため息交じりに後ろをついていく。
掛井四辻
じゃあ早速判定だけしちゃおうかな。
【スタッフ詰め所】の前を通りがかる。
彼らの様子は普段と同じだろうか、それとも。
《第六感》で判定を希望します。
GM
はい。特に変わりなく、普段と同じ様子です。判定どうぞ
掛井四辻
2D6>=5 (判定:第六感) (2D6>=5) > 6[1,5] > 6 > 成功
GM
拡散情報です。
【スタッフ詰め所】
 病院のスタッフが慌ただしく仕事をしている。余裕があるときは、こちらに挨拶をしてくれることも知っている。
秘密: 
 ショック:なし
 拡散情報。
 あなたたちが訪れたタイミングで、激しくナースコールが鳴り、電話が鳴り響き、ばたばたと看護師たちが捌けていく。……カウンターの上に何か置いてある。
 プライズ【研究室の鍵】を手に入れる。
【研究室の鍵】
 部屋の番号と簡素なキーホルダーがついたカードキー。このプライズに秘密はない。
掛井四辻
「おや、何ともあわただしいことで」
言いながら彼らを見送り、残されたカードキーをひょいと取り上げる。
GM
▽「???」が「研究室」に書き換わります。
【研究室】
 中の伺えない、病室でもない部屋が、この病院にはいくつもある。そのうちのひとつ。
 このハンドアウトは特定のプライズを所持していないと調査できない。
松頼 成之
「おっと、こんなとこにい~いお宝があんぜ?」
松頼 成之
悪い笑みが机に取り残されたそれを示している。
掛井四辻
「そうですねえ、この鍵、どこで使えるか試してみます? ……まあ、バレたら一緒に怒られましょうか」
GM
スタッフ詰め所はついさっきもぬけの殻となりました。あなたたちに挨拶をしてくれる人も、全力で走っていってしまいました。
松頼 成之
「しかし……急に人気がなくなったな。」
GM
「あんらぁ、もうすぐ昼ご飯だっていうのに急患だべか」と、声。これは食堂のおばちゃんです。いつも悪事…………悪い企みに加担してくれる優しい(要出典)おばちゃん。
GM
(このあとマスターシーンが挟まります。誘導に従ってもらえるとGMが助かります)
掛井四辻
「急患かぁ~……」
松頼 成之
「お、やっほやっほ~
 ……やっぱ昼飯じゃねぇのな。あいつらどこいったかわかる?」
GM
「ほら、ナリちゃん!あんたまたぷれみあむしゅーがいいんでしょ!」出シュークリーム
掛井四辻
「こうやってもらってたんですねぇ~」
なるほどな~
GM
「おばちゃんは飯とこっそりおやつのことしかわっがんねえからなぁ……」
松頼 成之
「あ!新作じゃ~~ん!!」
 両手を合わせてサンキュサンキュ!
GM
「あんたたちもそろそろ昼飯持ってく時間だかんね、部屋戻っとき」手のカードキーに気づいているのかいないのかガン無視なのか、それは今のあなたたちには分からない……おばちゃんはただ笑顔なので……
松頼 成之
「や~ついに秘密のルート知られちまったなぁ、これ内緒よ?」四辻に。

「おばちゃんもあんがと。あとでゆっくりいただくわ。
 今度礼に絵でもなんでも描いてやっからよ!」
掛井四辻
「はーい、わかりました!」
カードキーをポケットにするり。お昼ご飯は大事だからね。
掛井四辻
「へへ、また一つなりゆきさんの秘密を知っちゃいましたね」
GM
「んじゃおばちゃんの美人絵巻描いてもらわにゃなあ~」じゃあまたね~とおばちゃんは撤退していく……撤退というよりは準備しに戻ったのでしょうね。
松頼 成之
「はいは~い!今度は和服美人でいくわ!またよろしくな~」
 おばちゃんを見送って。
松頼 成之
「じゃ、裏取引がバレねぇうちにずらかるか。」
掛井四辻
「ですねぇ~」
松頼 成之
シュークリームを懐に押し込んで、せっせと帰路につく。
開いていない部屋のリストを頭の中で描きながら何食わぬ顔をして。
GM
 

GM
▽マスターシーンを挿入する。
GM
部屋に戻るとすぐ、言っていた通り、あなたたちに今日の昼食が届けられる。
GM
choice 肉 魚 (choice 肉 魚) > 魚
GM
今日は魚料理だ。
松頼 成之
「肉じゃねぇのかよぉ~!」
GM
「食べれんかったら残しといてな~」それと、味噌汁とご飯……
GM
「んじゃ夜は肉にしたろか、ナリちゃんはワガママじゃねえ」
松頼 成之
「わあい!おばちゃんだいすき♡俺ハンバーグがいいな♡♡」
掛井四辻
「ありがとうございます、いただきます」
こちらは素直にいただく
GM
「しったら今日は昼飯全部食ってもらわんとな~」などと話をしている、その後ろ。
GM
廊下をストレッチャーが通過していきます。それを取り囲むのはスタッフ詰め所にいた面々です。
松頼 成之
「う~ん!致し方なし!! 小骨は我慢して食ってやろう。」
 もそもそ。箸でつっつきながら。
掛井四辻
廊下を見やる。……先ほど、慌ただしくいなくなっていたのは、あれか。
松頼 成之
横目でちらり。 急患……普段ならそう思っただろうが。
GM
「残されたら夜におかゆ出すしかなくなっちゃうかんなあ」おばちゃんこう見えても栄養士なんだからねとか言っています。
GM
その後ろ。
GM
通っていったストレッチャーは2台。
掛井四辻
……2台の、ストレッチャー。
GM
見知った顔……あなたの主治医と、よく来る看護師の姿もありました。
松頼 成之
「おかゆ~!? 勘弁してくれよぉ~!!
 ゆるゆるのメシとかもはや罰ゲームじゃん~」
掛井四辻
「おかゆだけはちょっと物足りないですからねぇ~」
などとおばちゃんに返しつつも。
意識は廊下を行った「彼ら」の方へ。
GM
「知ってっかい、管理栄養士!あんたらが健康でいてくれるようにおばちゃん頑張ってんだよ!オヤツの分も含めてんだからナリちゃんはもっとおばちゃんに感謝しな」
松頼 成之
「へぇへぇ。感謝してますよぉ……
 おばちゃんは神様仏様。お祈りいくら捧げても足りねえよ~」
ハ~ナムナム! 両手を合わせつつも視線は自然とその様子を見る。
GM
「ねえ~掛井くんもこんなんがお隣じゃ大変でしょう~」止まらない!おばちゃんのナリちゃんdis
松頼 成之
ひでえ!ナリちゃんいいこにしてるのに!!
「おばちゃん知らねぇんだよ、四辻の方がよっぽどひでえんだって…!!」
掛井四辻
「あっはは、なりゆきさんと一緒だと、飽きなくていいですよ!」
言い方に多大な問題がないか?
GM
「まあ~ともかくご飯ゆっくり食いなさいね、おばちゃんはまだ他の部屋があるからね」と、まだ食事の乗っているカートを引いて出ていきます。
GM
食べ終わった頃に、食器が回収されていく。
GM
このあと病室の外に出ますか?(演出的質問です)
掛井四辻
ひょこっと出ようかな~と思っていますよ。
松頼 成之
こっそり後をつけにいくかもですね~… 
研究室探しもしたいところだし
GM
はい。それでは……
GM
廊下に出て、あなたたちが軽く散策をすると、カードキーの部屋の番号はすぐに見つかります。同じ階です。
GM
そして。廊下のずっと向こうに、ぼんやりと赤いランプが点灯しています。
GM
近づけば手術中と白文字が浮かび上がっているのが読めるでしょう。
松頼 成之
「さっきの急患か……?」 耳を澄ませてみたりして。
掛井四辻
赤いランプを見つめる。声もなく。
GM
何も聞こえず、当然人の気配もない。
GM
それ以上見つめていても、何も出てこないでしょう。
松頼 成之
つまり部屋は研究室と手術室で、ふたつある…
GM
部屋そのものはたくさんありますが、あなたたちがアクセスできるのはひとつだけ。ここにいても無意味なので、引き返す他ないでしょうね。
掛井四辻
ちらりと、なりゆきさんを窺って。
「……ひとまず、一旦戻りましょうか」
松頼 成之
「……そうだな。さすがに手術の様子は覗けねぇし。」
掛井四辻
「手術。無事終わるといいですね」
松頼 成之
「どうだろな。ここの医者はヤブばっかだぜ?」
GM
医療のハイテク化が進んでいたとしても防護服のない、知識のない人間は立ち入ることを許されません。部屋に戻ればプレミアムシューが待ってる。
掛井四辻
「あっはは、それを言っちゃあおしまいですよ」
そう言いながら、来た道を戻っていく。
松頼 成之
なれば選ぶべきはそう、プレミアムシュー一択!
「ま、いねぇならいねぇでこっちのが気楽だわな!」
松頼 成之
「こっちはこっちで楽しむか~!」
GM
~プレミアムシュータイム~
松頼 成之
(ここにおいしそうなシュークリームのカットイン)
GM
……を、楽しんで。
GM
いつ研究室に行くか……そう、手術室から出てきたところに出会してはかないませんからね。激おこぷんぷん丸待ったなしでしょう。主治医が。
GM
あなたたちがそうして機会を伺っている間に、食堂のおばちゃんはもう一度現れます。次はハンバーグと一緒だよ。
松頼 成之
ひとまず様子見と言うことか……
(シュークリームのことはさておいて)
掛井四辻
「おお~本当にハンバーグですねぇ~!」
GM
ナリちゃんはちゃんといい子にしなさいよ!とか言われながらハンバーグが配膳されて……
GM
がらがらと車輪の音が聞こえてくる。
松頼 成之
「わ~い♡おばちゃん愛してる♡」配膳カートに投げキッス!
GM
ごろごろ……がらがら……
GM
1人、誰かが眠っている。
GM
……。
GM
……それに続くものはない。
GM
……何台入っていった?
松頼 成之
ハンバーグをもぐついて。見やる。
GM
「それじゃあ、また明日ね!おばちゃん今日は早上がりだから!」――管理栄養士もまた、その異物を気に留めない。
GM
当然のように、主治医と看護師たちは、おのおのの持ち場に戻っていく。
GM
……。
GM
あと一台は?
掛井四辻
視線を向ける。……通り過ぎた、1台だけのストレッチャー。
松頼 成之
飲み込む。何事もないようなそぶりで。
「今日はサンキューな~!」手を振るなどして。
掛井四辻
「ありがとうございました、ごちそうさまです」
おばちゃんには、いつも通りに、笑いかけて。
松頼 成之
……見送る。 これも、いつもの日常だったか?
首を傾げることもなかったろう事象も、今は違和感がぬぐえない。
GM
あなたたちは、自然とそれの意味することを考えてしまうでしょう。……ここは、“病院”だ。
GM
【死】で恐怖判定です。
松頼 成之
2D6>=8 (判定:暗黒)恐怖判定 (2D6>=8) > 5[2,3] > 5 > 失敗
[ 松頼成之 ] 狂気カード:狂気:陰謀論
トリガー:トリガー:自分が調査判定の目標になる。
2 → 3
(顕在:0)
掛井四辻
2D6>=8 (判定:医学)恐怖判定 (2D6>=8) > 7[1,6] > 7 > 失敗
掛井四辻
一枚引きます。
[ 掛井四辻 ] 狂気カード:狂気:虚無感
トリガー:自分の【生命力】が減少する。
2 → 3
(顕在:0)
掛井四辻
瞑目する。
……自ずと、こみあげてこようとする何かを、飲み込んで。
GM
そうして、夜がやってくる。
GM
早い消灯時間。いつもなら、遅くまで電気をつけようとするあなたもきっと、今日は。
GM
今見た何かを飲み込むように、早寝をするのだろう。
GM
 
GM
▽3-1:PC2
掛井四辻
そして、今日がやってくる。
今までと変わり映えのしないはずの、今日。
掛井四辻
手の中のカードキーを確かめる。
場所はもうはっきりとしていて、ただ、そこに行くだけでいい。……いいのだ、けれど。
掛井四辻
「なりゆきさん、今からちょっとお散歩して来ようと思うんですけど、どうします?」
ひらひらと、カードキーを示しながら。
松頼 成之
「……そりゃ、行くに決まってんだろ。」
 静かな目線が投げかけられる。
松頼 成之
「俺はこれをお散歩で済ます気はねぇぞ」
 立ち上がってキーを奪うように腕を引く。
掛井四辻
「……そうですか」
静かに。そう答えて、腕を引かれるままに立ち上がる。ただ、キーはあくまで己の手の中に。
掛井四辻
それが、「自分自身の責任による」と示すように。
松頼 成之
「頑固なやつだよな、お前も。」
松頼 成之
あくまで自分は腕を引くだけだ。
掛井四辻
「あっはは、『頑固なやつ』なんて。最高の褒め言葉ですね」
松頼 成之
「笑ってんじゃねーよ、ばか。」
松頼 成之
「ほら、とっとと行くぞ。 行先は決まってんだろ?」
掛井四辻
「ええ、行きましょうか」
応えて、そっと。呟く。
「……なりゆきさんは、何も悪くない。僕が勝手に誘ったんですから」
松頼 成之
「ば~か、手ぇ握ったらそりゃもう共犯だろうがよ。」
松頼 成之
それはシュークリームとおなじ。チョコレートとおなじ。
自分も散々怒鳴られたものだが。まぁ、そういうことだ。
掛井四辻
少しだけ。……ほんの少しだけ。
その言葉には何かを噛みしめるような顔をして。
掛井四辻
けれど、すぐにあっけらかんと笑う。
「手を握った以上はどこまでも、ってね。頼もしいです」
松頼 成之
「ま、切る準備はできてっからな。」
 ひらひらとわらって。
掛井四辻
「そのくらいでちょうどいいですよ。なりゆきさんは」
松頼 成之
「お前に言われたくねぇ~~」 あ~あ と大袈裟につぶやいて。
掛井四辻
そんな風に。いつもの通りに笑いながら、ふらりと部屋の外に出ていく。
そして、その場所を、目指す。
掛井四辻
調査判定。
研究室の鍵を所持しているため、【研究室】を調査します。
扉に触れて、確かめる。《手触り》でいかがでしょうか。
GM
いいでしょう。どうぞ
掛井四辻
2D6>=5 (判定:手触り) (2D6>=5) > 2[1,1] > 2 > ファンブル(判定失敗。山札から【狂気】を1枚獲得)
GM
活きが良いね
松頼 成之
おーまもり!おーまもり!
GM
好奇心分野ですね。
松頼 成之
削るのかぁ…(どっちにしろ振り直し!しよう!
掛井四辻
うーん、お守りもったいないから正気度消費で振り直しかな……ちょっとその後申し訳ないことになるけど……(すまない、という顔)
松頼 成之
やっぱりおまもりちゃんすなのでは??なのでは???
GM
では正気度削って振り直しどうぞ。
掛井四辻
好奇心分野なので正気度1減少で振り直し。
このタイミングで狂気カードが一枚開かれる、で問題ないですよね、GM?
(判定中なので判定は続行できる認識かと思いますが)
GM
はい。
松頼 成之
んもぉ~~~
[ 掛井四辻 ] 正気度 : 5 → 4
[ 掛井四辻 ] 狂気カード:3(顕在:0 → 1)
狂気:現実逃避
トリガー:自分の【正気度】が減少する。
 あなたは、現実から逃げ出したくてたまらない。
 自分が新たに【狂気】を公開するまで、自分の【正気度】が1点以上減少している場合、自分がシーンプレイヤーのときに回復判定以外の主要な行動を行うことができない。
掛井四辻
では狂気カード『現実逃避』を開きます。
これ以降次のカードを開くまで回復判定以外ができなくなります。
では再判定。
掛井四辻
2D6>=5 (判定:手触り) (2D6>=5) > 8[2,6] > 8 > 成功
GM
秘密をお送りします。
GM>掛井四辻
【研究室】
 中の伺えない、病室でもない部屋が、この病院にはいくつもある。そのうちのひとつ。
 このハンドアウトは特定のプライズを所持していないと調査できない。
秘密:
 ショック:なし
 扉を開けると、そこは実験室だった。
 乱雑に資料が置いてある。『松頼成之と20210226のマッチング及びノックアウト方針』「……TALENにより受精卵の免疫機構のノックアウトを……」「新規TALENの作成要求」『遺伝病を完全に排除した受精卵を作成するために』「CRISPR-CasとTALENの比較」「in vivo用RNA鎖切れそうなので発注お願いします」『遺伝子操作治療用個体に自我が見られる場合のガイドラインの必要性について』……書いてあることはあまりよく分からない。
掛井四辻
僕には。これだけでは、何も。何も、わからない。
……わからない、けれど。
掛井四辻
嫌な感じがする。
本当は……触れてはいけないのではないか。
これ以上は。
「現実」を、直視するのは。
掛井四辻
それでも、それでも。
掛井四辻
「……なりゆき、さん」
掛井四辻
「手は。いつでも切っていいですよ」
松頼 成之
「じゃあ言えよ。」
 その腕を強く引くようにして。
松頼 成之
「お前は何を見た?」
掛井四辻
「これだけでは、まだ、何も」
掛井四辻
「でも」
掛井四辻
「なりゆきさんの名前が、あるよ」
松頼 成之
「……ああん?」
掛井四辻
【研究室】の情報を譲渡します。
GM
はい。受け取りますか?
松頼 成之
受け取ります。
【研究室】
 中の伺えない、病室でもない部屋が、この病院にはいくつもある。そのうちのひとつ。
 このハンドアウトは特定のプライズを所持していないと調査できない。
秘密:
 ショック:なし
 扉を開けると、そこは実験室だった。
 乱雑に資料が置いてある。『松頼成之と20210226のマッチング及びノックアウト方針』「……TALENにより受精卵の免疫機構のノックアウトを……」「新規TALENの作成要求」『遺伝病を完全に排除した受精卵を作成するために』「CRISPR-CasとTALENの比較」「in vivo用RNA鎖切れそうなので発注お願いします」『遺伝子操作治療用個体に自我が見られる場合のガイドラインの必要性について』……書いてあることはあまりよく分からない。
GM
『』項目についてはゾーキング情報があります。
掛井四辻
「僕は、もう少し。確かめたいと思うけど。なりゆきさんは、どうする?」
松頼 成之
「俺が……何??マッチング?ノックアウト? 
 ……遺伝子操作?」 何もわからない。わからないが…
松頼 成之
……思い出す、あの地下室の光景を。
あれはなんだ? ここが病院以外の何かであるならば。
松頼 成之
「……知らねぇ。
 でも俺が…このまま黙っていられると思うか?」
掛井四辻
「思いません。……思いませんよ」
掛井四辻
思わなかったから。
本当は、言わないという選択肢もあった。
……何も見つからなかったと言ってもよかったのだ。
でも、それは……できなかった。
掛井四辻
できなかったんだ。
松頼 成之
「くそっ……ほかになんかねぇのかよ!?」
 半ば研究室に押し入る形で資料を漁る。
 わからない、わからない文字列ばかり。
掛井四辻
その横で、資料の一つを手に取って、確かめてみる。
例えば、『松頼成之と20210226のマッチング及びノックアウト方針』という言葉を、追いかけてみる。
ゾーキングします。
『松頼成之と20210226のマッチング及びノックアウト方針』
患者名:松頼成之(24) 性別:男性 性染色異常:なし 遺伝病:なし
……
20210226
M-kky×F-Mtの人工授精をエレクトロポレーション法にて行う
成功卵を抽出し、インキュベート
n=17
……
20210305
発生異常卵・未発生卵を除去
n=9
……
(以下、画像つきの発生記録が続く)
……
20210506
地下インキュベート施設に移動
……
掛井四辻
「……地下、インキュベート施設……」
やっぱりそこに並ぶ言葉は難しくて。ただ、あの地下の施設のことだろうか、なんて。ぼんやりと考える。
松頼 成之
「……地下イン………あれのことか?」
 地下施設。降り立った先で見たもの。
 それは病院というよりも……むしろ。
松頼 成之
吐き気がする。俺は一体何をされようとしている……??
松頼 成之
『遺伝病を完全に排除した受精卵を作成するために』をゾーキングします。
『遺伝病を完全に排除した受精卵を作成するために』
……特に男性に多発することがよく知られている色覚異常を考慮するため、X染色体の特定部分をスクリーニングし、予め使用する卵から排除しておく必要があり……
また分裂異常によるターナー症候群を始めとする性染色体由来の……
……21番染色体のトリソミーによるダウン症も同様に選別対象である。……

全体的に『染色体』というワードが頻発している、実験する人向けの冊子のようだ。
掛井四辻
「……………………」
その言葉をきちんと理解できたとは到底言い難い。言い難いけれど、何とはなしに、手に触れる資料の感触を確かめずにはいられない。
掛井四辻
……僕はこの資料について、なりゆきさんとはまるで別のことを考えているような気がする。
掛井四辻
それでも、もう少しだけ。もう少しだけ、を求めるように。
資料に手を伸ばす。
『遺伝子操作治療用個体に自我が見られる場合のガイドラインの必要性について』、ゾーキングします。
『遺伝子操作治療用個体に自我が見られる場合のガイドラインの必要性について』
(他のものより急いで作ったような拵えである)
……かねてより遺伝子操作治療用個体が自我を持ち、自分の意志で行動し始めるだろうという注意喚起はなされてきたが、これについては議論が分かれるところであり……
……戸籍のないヒトがヒト社会で生活を行うことは大変困難であり……
……我々は自我のある個体そのものを除外するべきであると考えるが、当該個体については現在観察を続行中のため、……
松頼 成之
「くっそ、なんっっもわかんねぇ……」
 けれど、ここに記してある文面は。
 この施設でやろうとしていることはまるで……
松頼 成之
四辻の方を見据える。
「…………お前、これがなにかわかるか。」
掛井四辻
「……………………」
わからない、といえばそうだ。結局自分は何もわかってはいない、ということがわかっただけ。けれど。
掛井四辻
「少しだけなら、わかる気がします」
そこで、「全てがわからない」という嘘を吐くことは、僕にはできない。
松頼 成之
「……………。」
 押し黙る。
 つまり、こいつにはわかるのだ。
 そこに何が書かれているか、それが何を示すのか。
掛井四辻
「……わかりますよ。本当に、少しだけですが。これは、なりゆきさんに関わる話だと思います。……なりゆきさんの『ため』の、話」
松頼 成之
「……じゃあお前、なんでここにいんだよ。」
 これが俺の話なら。俺だけの話であるならば。
 その必要はないはずだ。
掛井四辻
「そうであればいい……という、願望も込めてますが。そうそう的外れじゃないとは思います」
だって、ここに書かれている言葉の意味は正直僕にはわからない。ただ、ただ、推測ができるというだけだ。
掛井四辻
「……だから、そう、なりゆきさんの言う通りです。僕はきっと、ここにいるべきではないんです」
松頼 成之
「…………ここにいるべきではない、か。」
松頼 成之
「……それは、本心か?」
掛井四辻
少しだけ、きょとんとして。
掛井四辻
それから、少しだけ。わらう
掛井四辻
「もし、それが僕の本心であれば。……そもそも、最初からここにはいませんよ」
GM
 
GM
▽3-2:PC1
松頼 成之
「……わかんねぇ。」
松頼 成之
「やっぱりお前の事全然わかんねぇよ。」
松頼 成之
「いつもいつも煙に巻くみたいにへらへら笑って。」
松頼 成之
「それじゃあ何にもわかんねぇんだよ。
 お前の事も……お前が何考えてんのかも。」
松頼 成之
「お前が俺を信用するならば
 俺に何か言いたいことがあるならさ…
 ……ちゃんと言葉にしてくれよ。」
松頼 成之
「いい加減 はっきりしようぜ、四辻。
 何も知らないで、何も見ないで勝手に進んでいくなら……俺は、嫌だ。」
掛井四辻
「……そうですね。なりゆきさんは、きっと。そう言うのだと思いました」
掛井四辻
「僕は。なりゆきさんと一緒にいる間、ずうっと、考えてたんです。何も知らないでいること。何も見ないでいること。それは、……よいことなのか、悪いことなのか」
掛井四辻
「でも、結局、良し悪しじゃないんですよね。今、なりゆきさんが『嫌だ』と言ったように。何もかも、何もかも、その人の胸の内に聞くしかない。僕が、そうしてきた……そうしてきてしまった、ように」
掛井四辻
「僕は、なりゆきさんが『知りたい』と思うなら、話します。……それが、ここにいる僕がなりゆきさんにできる、きっと唯一のことだから。……それがなりゆきさんの『ため』とは、到底言えないけれど」
松頼 成之
「知らねえよ。」
松頼 成之
「誰の為とか、どいつの為とか。」
松頼 成之
「知るかよ。俺は俺の為に聞いてんだ。」
松頼 成之
「唯一とか勝手に決めてんじゃねぇよ。
 お前みたいな奴に尺度がわかんのか?
 外も知らねぇお前が俺を、誰かを量んのか??」
掛井四辻
「はは、そうでなくっちゃ僕も困っちゃいますよ。僕が何を言おうと、なりゆきさんはそうでなくちゃ」
松頼 成之
「……いいから話せよ、全部。全部だ。」
松頼 成之
見慣れた顔をただ真っすぐ睨みつけて。

PC2の秘密を 芸術 で調査します。
掛井四辻
「……僕はなりゆきさんを量ったつもりはない。ただ、僕が、僕自身の『唯一』を知っているというだけ」
GM
はい。判定どうぞ。
松頼 成之
2D6>=5 (判定:芸術) (2D6>=5) > 12[6,6] > 12 > スペシャル(判定成功。【生命力】1点か【正気度】1点回復)
GM
紐解く。
【PC2秘密】
 ショック:PC1
 あなたはPC1のために作られた治療用ホモサピエンスだ。あなたは様々な技術を用い、全身を蝕むPC1の病を治すための臓器を作るためだけに存在している。ちょうど一年前に受精が行われ、一か月で生まれ、九か月で大人になった。そして、入院患者として、手術に備えるための措置を受けている。
 あなたの本当の使命は、【PC1の病気を自分を使って治してもらう】ことだ。
 あなたは免疫系統に手が加えられているため、完全無菌環境でなければ生きていくことができない。
 あなたにはもう一つ秘密がある。
GM
では……回復するの正気なんですけど、これショックついてるんですよね。帳消しです。
松頼 成之
「……ははっ…」
掛井四辻
ひとつずつ、ひとつずつ。物語るだろう。
自分のことを。自分について、今の自分の言葉で語れる限りに。
松頼 成之
「……そうかよ。」
 わからないでいようとした。
 けれど、知らずにもいられなかった。
松頼 成之
「お前が、俺の為に?」
松頼 成之
バカげている。
こんなのはバカげている。
目の前にいるのは、まぎれもなく。
松頼 成之
「……お前、知りたいんじゃねぇのかよ。
 外の世界だとか。もっともっと、いろんなこと。」
掛井四辻
「今更、つまらない嘘は吐きませんよ」
穏やかに。どこまでも、穏やかに。
「……でも、そう、知りたいのは本当です。でも、『僕』が『僕』のままでは、どうあがいたって無理なんです」
松頼 成之
「……クソが!!!馬鹿か!?!
 そんじゃあ何だよ、あいつらにただ利用されてんじゃねぇかよ。」
掛井四辻
「そうですね。……なりゆきさんなら、そう言うと思ってました。でも、そもそも……『僕はそういうものだ』」
松頼 成之
「気に食わねぇ、無理がなんだよ。
 お前はそんな人生を歩むために生きてきたってのか?」
松頼 成之
「そういう『もの』だァ??
 せいぜい数か月のおこちゃまが何言ってんだよ。」
松頼 成之
「俺の方が長く生きてんの、俺の方が知ってんの。
 おれは、お前とは違うよ。お前と違って生きてる。」
松頼 成之
「俺の道を、俺が選んで、俺の足で歩んでんだ。」
松頼 成之
「その程度で諦めてんじゃねぇよ。
 なんだ、お前の夢はそれっぽっちか!?」
松頼 成之
「……付いてこい。」腕を引く。
松頼 成之
悪態をつきながら、大きく地に足を踏みしめて。
掛井四辻
なりゆきさんなら、そう言うだろうということも、何となくはわかっていた。
掛井四辻
「なりゆきさんらしいですね」
だから、ぽつり、と。呟いて。それでも、腕を引かれるならついて行くだろう。
松頼 成之
「うるせえ、お前が……本当になんだか教えてやるよ。」
 ただ、気分が悪かった。
 とにかく、必死だった。
 引かれるがままの容易い足取りに怒りを覚える。
松頼 成之
目指すは地下室。
……俺が見た、あの景色。
松頼 成之
地下プラント 秘密、渡しますね。
GM
はい。受け取りますか?
掛井四辻
受け取りましょう。
【地下プラント】
 暗く冷たいコンクリートの空間の奥から、液体が流れるような音が聞こえてくる。巨大な構造物の中に、液体が流れ込んでいるのが見えた。
秘密:
 ショック:PC1
 よく見ると、人間らしい形をした何かが浮かんでいる……あちらにもそちらにも、そしてすぐそこにも!
 【生物学】で恐怖判定。
掛井四辻
2D6>=6 (判定:医学)恐怖判定 (2D6>=6) > 3[1,2] > 3 > 失敗
掛井四辻
引きます。
[ 掛井四辻 ] 狂気カード:狂気:忌み数
トリガー:同じシーンに登場している誰か(自分含む)が行った判定のサイコロの出目に4が含まれている。
3 → 4
(顕在:1)
GM
それは、あなたにとっては懐かしいものだ。
GM
それは、いわば人工的な子の宮だ。
GM
そこには、壁面にべったりと貼り付いているものがある。
GM
それは、――胎盤と呼ばれるものだ。
GM
そして、人の姿がいくつもある。
GM
もうあなたほどあろうかという大人と変わらない大きさの人、子供、それ未満……
GM
数多の“人”が、九ヶ月をここで過ごす。
松頼 成之
「これが『おまえ』か????」 叩きつけるように吐き捨てる。
GM
今も、血管が脈打っている。血液が身体を巡り、栄養を行き渡らせるために。
GM
ぎょろりと誰かの目玉が動いた気がした。
掛井四辻
「ここが、僕がいた場所なのは、間違いないですね」
こともなげに。言う。
「これらが『僕』かどうかは議論の余地がありますが、少なくとも、僕は、『この中の一人』でした」
GM
細い血管が幾重にも走り、外部の硬さからは想定できないような柔軟さで、酸素と栄養を回し続けている。
GM
まさしく、ここは母体であった。
GM
この研究所の。掛井四辻の。
松頼 成之
腹立たしげに、四辻の首根を掴んで叫ぶ。
「それはただの『事象』だろうが!!」
松頼 成之
「冷静気取ってんじゃねえよガキが!
 よく見ろよ。感じろよ。その頭で考えやがれ!!!」
松頼 成之
そのまま、四辻の身体を浴槽に押し付けるようにして。
松頼 成之
「お前は、本当に『これ』か??
 この薄肌色の何も考えてねぇような、つまんねぇつまんねぇ…
 ただ俺の『身体』になるだけの、気色の悪い部品かよ!?」
松頼 成之
男は『見せる』 己がそうあったから
そう生きることしかできなかったから
まじまじと、見せつける。それを、それらを。
松頼 成之
「俺と一緒にいたお前は『何』だ。」
松頼 成之
「俺は、お前に聞いたよな。
 俺は、お前に言ったよな。
 お前は『何を考えている』」
掛井四辻
「なりゆきさんは。いつだって、『なりゆきさんの尺度』でものを言いますね。僕には、僕の尺度で語るなと言うわりに」
掛井四辻
「僕が何を答えようとも、なりゆきさんはきっと満足しない。……僕に問いかけているようで、きっと、なりゆきさんは『なりゆきさんの望む答え』を求めている」
掛井四辻
「僕が考えていることは、ただ一つ」
掛井四辻
「……でも、言ったところで、きっと」
なりゆきさんを見上げる。
されるがままになりながら、ただ。
じっと。
見つめる。
GM
▽PC2の生命力が減少する。
[ 掛井四辻 ] 生命力 : 4 → 3
松頼 成之
何も伝わらない。
きっと、何も伝わっていないのだ。
GM
▽PC2の初期狂気を公開する。
GM
では山札から全部掴み取りしてください。その後1枚選択して自分の手札に入れ、残った3枚を右が上になるように並べ替えてください。
GM
残ってんの2枚だよ
掛井四辻
おっと手順が微妙にわかんないですね ええと「全て集める」でいいのかな
GM
10枚ないけど10枚引くでいいんちゃうかな→その中から1枚選択し、自分の手札へ→残った2枚を先に引かれたい方が右に来るように並び替える です。
掛井四辻
オーケイ、ちょっとお待ちください
掛井四辻
これでお願いします。
GM
OK。以降山札は使用せず、恐怖判定に失敗した場合はGMがカードを配布するまでお待ち下さい。
GM
 

GM
▽マスターシーンを挿入する。
GM
あなたたちは、どちらが言うでもなく“戻ってきた”。
GM
あなたたちに与えられている自由な部屋は、そこしかないからだ。
GM
二人部屋の病室。清潔な白さの中に気まずいともなんとも言い難い静謐が落ちる中、無遠慮にその扉が開けられる。
主治医
「失礼します。松頼さんは……いますね」
松頼 成之
「いますけど……なんすか。」 不機嫌丸出し。
 ああいう件の後だ。病室にはやや気まずい空気がながれている。
主治医
「手術の日取りが決まりました。」気まずさも不機嫌さも当然のように無視し、要件のみを告げた。
松頼 成之
「今度は何するんすか、身体でも開きにします?」
松頼 成之
どうぞどうぞ、胸を開くようなジェスチャーで。
主治医
「どうでしょうね。それは“進み具合”によるかと思いますけれど」
主治医
「あなたもあまりやんちゃなことをするのは控えてくださいね。術前とあればなおのことですよ」
GM
淡々と。要件だけが。あなたの眼前に並べられる。
松頼 成之
「いいじゃないすか、華の20代多少エンジョイしたってなぁ?」
 四辻に無理矢理に相槌を求めるように。
主治医
「親族の皆様にはこちらから連絡しておきますので。お喜びになるでしょう、いよいよ監獄の如き生活から抜け出せるのですから」
松頼 成之
「あ~それなんすけど……」
松頼 成之
「取りやめとかってできないんすかね。」
主治医
「では、また。」答えを待たずに、あるいは聞かずに、主治医は病室を出る。
掛井四辻
目を伏せる。
GM
扉が閉まる音だけが、あなたの描いたものとの断絶を意味している。
松頼 成之
「あ~……つまんね。 からがいもねぇでやんの。」
掛井四辻
それから、なりゆきさんを、見る。
松頼 成之
ふい、と窓辺に目を背けて。
GM
PC1は《憂い》で恐怖判定です。
松頼 成之
事実、感情、日々の折々。 ひとつひとつ、並べていく。
これまでの日常はなんのためにあったのか。
刻々と過ぎる時は一体なにを示したのかと。
松頼 成之
2D6>=7 (判定:整理)恐怖判定 (2D6>=7) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
 

GM
▽マスターシーンを挿入する。
GM
掛井さん。
掛井四辻
はい。
GM
手術の日取りが決まったということは、何を意味するかお分かりでしょうか。
掛井四辻
わかっている、つもりです。
GM
(▽公開されていなければ、PC2の秘密1を公開する。)
GM
あなたはあなたの言葉で、伝えなければならないことがあるはずです。
GM
▽PC2の秘密2に関する処理を行う。
GM>掛井四辻
▽これ以降、あなたの秘密2が調査された場合、あなたの使命は変更が可能になる。
▽変更可能な使命は、あなたの秘密2が調査された時に開示される。
▽あなたの使命の変更タイミングは、この処理以降から、クライマックスフェイズ直前のマスターシーン終了時までとする。
▽また、今後秘密2の内容について、自分の口に出して話してよいものとして扱う。
掛井四辻
「なりゆきさん」
沈黙を、破る。その名前を呼ぶ。
松頼 成之
「お前、死ぬの?」
松頼 成之
間髪入れず、問い返す。
掛井四辻
「はい」
即座に答える。そこに迷いを入れ込むことは許されないと思ったから。
松頼 成之
「……そっか。そりゃよかった 願い通りじゃん。」
 心無い言葉。目線は相変わらず宙を泳ぐ。
松頼 成之
「俺は結局、何も出来なかったわけか。」
 その瞳に映るのは暗い空。もしくは闇。
掛井四辻
「そうですね。僕が望んだとおり。……ただ、一つだけ、どうしようもなく間違ってしまったと思っています」
掛井四辻
「僕は。……ここにいる必要なんてないんです。こんな思いを、なりゆきさんに、させる必要なんて、なかった」
松頼 成之
「俺がお前の為に悲しんでるとでも言いたいのか?」
松頼 成之
「それとも、自分が不必要だと俺にアピールしてぇのか。」
松頼 成之
「それとも、無様な俺を笑いてぇのか。またああやってへらへらしてよ。」
掛井四辻
「……何も知らなければ。……なりゆきさんは、そういう顔をしなかったのではないですか。そして、本当は、そうなるはずだったんです」
松頼 成之
「笑わせんなよ、マジで。」
松頼 成之
「俺が何にも知らなくて、それで幸せか?」
松頼 成之
「まさか、俺がそれを望むとでも?
 はは、ほんと笑わせんのがうまいのな、お前は。」
掛井四辻
「そう。なりゆきさんは、望まないでしょう。望まないということを、『僕は』『知った』」
松頼 成之
ぐちゃぐちゃの思考が うまく像を結ばない。
「そうなる、はず? 何がだよ。 何が言いてえんだよ。」
掛井四辻
「……結局のところ、僕が考えているのは、いつだって僕自身のことだけでした。それはきっと、今ですらそう」
掛井四辻
「こうなったのは、全部、全部、僕のわがままなんです。本来、治療用ホモサピエンスは患者と触れることなんて、必要ない、推奨なんてされない。そもそも自我なんて、持つべきものでもない」
松頼 成之
「わっかんねぇんだよ、お前の言葉は。いちいち面倒くせぇ。」
掛井四辻
『……我々は自我のある個体そのものを除外するべきであると考えるが、当該個体については現在観察を続行中のため……』
掛井四辻
「……なりゆきさんと、一緒に過ごすようになってから。……怖かったんです。ずっと」
掛井四辻
「僕はなりゆきさんについて、もちろん全てを知ってるわけじゃない。何も知らないと言ってもいい」
掛井四辻
「でも、一緒にいた二ヶ月、楽しくて、嬉しくて、なりゆきさんと一緒にいるのが、とても心地よくて」
掛井四辻
「だから。……そんななりゆきさんを、助けたいと思うと同時に。すごく怖くなったんです」
掛井四辻
「僕は。……そんななりゆきさんに、興味本位で近づいてしまった。そして、」
掛井四辻
「今。こうしている」
松頼 成之
「その仕打ちが、これか。」
松頼 成之
「お前はこの日々が楽しかったという
 この下らねぇ日々が、大切だと思ったんだろう。」
松頼 成之
宙を見る暗い目が、あなたの方に向く。
「そして、お前は……それを、失うのが怖い。」
松頼 成之
「これは……俺の驕りか?」
掛井四辻
「……そうですね。大切だと思います。今こうして、言葉を交わしていても。僕は、この時間を、大切に思います」
掛井四辻
「でも、それは『なりゆきさんがここにいるから』思えることです」
松頼 成之
あなたの瞳の奥を見つめて。
「俺はな……俺は、そうは思わない。」
絞り出すような、掠れた声。
松頼 成之
「お前なんていなけりゃよかったよ。」
松頼 成之
「とっととくたばっちまえ。」
松頼 成之
細い腕を握りしめるようにして。喉を震わせる。
「ひとりで、ひとりっきりで……死ね。」
松頼 成之
「俺を巻き込むな。」
掛井四辻
「……そう、言うと思いましたよ。だから、僕は怖かった。でも」
掛井四辻
「それも仕方ないですね。……僕はそう言われるだけのことをしました。『いなければよかった』、その通りです」
松頼 成之
「……その通りだよ。お前はここにいちゃいけない。」
ふらふらと縋るように立ち上がり、病室を抜け出そうとする。いつものように。
松頼 成之
「こんなクソ患者放って、 ……とっとと、逃げ出すべきだった。」
松頼 成之
「空は青いぞ。 ……お前、知らねぇだろ。」
松頼 成之
「ここは空気が悪すぎる。空気清浄なんてしてるからだ。」
松頼 成之
「なんでもかんでも綺麗事
 いらねぇ世話ばかり焼きやがる。」
掛井四辻
「……ええ、知らないことだらけですよ。そして、僕はそれを知り得ない。もしくは」
掛井四辻
なりゆきさんはきっと、そう言って僕を突き放すのだと、わかっていたけれど。僕は。
掛井四辻
「『なりゆきさん』を通して、知るんです」
掛井四辻
そう言わずには、いられなかった。
松頼 成之
「…………ばかだな、おまえ。」
掛井四辻
「……ごめんなさい」
松頼 成之
「ほんっと……ばかだよおまえ。」
松頼 成之
「お前の腕は何のためにあるんだよ。
 お前の瞳は、お前の頭は、足は何のためにあんだよ。」
松頼 成之
「それは、俺の為じゃねぇ。」
松頼 成之
「……それは、お前の足だよ。」
松頼 成之
扉の前で崩れおちるよう跪く。
ああ、こいつは何にもわかっちゃいない。
こいつは何にも知らない。なにも、なにも、なにも。
掛井四辻
案じるように。その横にそっと膝をつく。
『僕』という自我が望んでいる以上は。そうしてしまう。そうせずにはいられない。
松頼 成之
「俺が」
松頼 成之
「どうして、絵を描かなくなったかわかるか。」
松頼 成之
「……伝わんねぇんだ。 伝わんねぇんだよ、何にも。」
松頼 成之
「どれだけ綺麗だと思っても、感じても、見つけても
 俺の手じゃ、俺の目じゃ、誰も見つけちゃくれねぇのさ。」
松頼 成之
「どれだけ必死に腕を動かしても、
 線を引いても、何にも足りやしねぇ……」
松頼 成之
「……だから、筆を折ったんだ。」
松頼 成之
「俺じゃだめなんだ。
 お前は俺になんてなるべきじゃない。
 お前は、お前じゃなきゃだめなんだ。」
掛井四辻
「……誰も、見つけてはくれない……」
ぽつりと、言葉を落とす。僕にはなりゆきさんの絶望は、きっと、わからない。
掛井四辻
だから。言えることは、
掛井四辻
「他の誰が見つけてくれなくても、僕は。……なりゆきさんの絵を、見たいです」
松頼 成之
「…………ははっ」 掠れた声が漏れる
松頼 成之
「これから死ぬ奴に言われたくねぇわ」
掛井四辻
「……なりゆきさんの、旅の話を聞きたい。なりゆきさんが、青い空を見て、海を見て、その話を、聞きたいと思うんです。……それが、なりゆきさんと出会ってから、ずっと、思ってたこと」
松頼 成之
「俺は結局変えられねぇんだな、なにも。」
 扉にもたれ掛かるようにして、みあげる。
掛井四辻
「……僕が、なりゆきさんと出会ってから、ずっと怖かったのは、……そういう、なりゆきさんが、いなくなってしまうこと」
松頼 成之
「俺が望むのは、お前が空を見ること。……俺じゃない。」
 切れ切れにすれ違うような言葉ばかり吐き出されてゆく。
松頼 成之
「おまえが楽しそうに、その話をして、俺が耳を傾ける。
 それだけでいい。 ……それだけでよかったんだよ。」
松頼 成之
「俺なんて、いなければ。」
松頼 成之
 お前が生きることも、死ぬこともない。
 こんな思いなどなく、世界は美しいままだったろうに。
掛井四辻
「……僕は。……」
言葉を切る。
掛井四辻
「……『僕が空を見ることを望んでくれる』なりゆきさんで、よかった」
掛井四辻
「そして、ごめんなさい」
掛井四辻
「『俺なんて、いなければ』なんて、言わせてしまって」
掛井四辻
「ごめんなさい」
松頼 成之
「お前のせいじゃないよ」
松頼 成之
「これは全部俺の言葉だ。」
松頼 成之
いくら言葉にしても変わらない。いくら絵にしても残らない。
きっとこの瞬間も、時は流れて、記憶は揺らいでいくのだろう。
掛井四辻
「……その手で、変えてみてくださいよ」
掛井四辻
「どうか」
掛井四辻
「……どうか」
掛井四辻
「なりゆきさんは、僕のことを願った。僕の心を、少なからず動かした。僕が、この瞬間を何よりも恐れてしまうくらいには、強く」
松頼 成之
「……だったら。」
松頼 成之
「……だったら、お前が。」
松頼 成之
「……お前がかえてみせろよ、ばか。」
松頼 成之
それは、苦しそうな笑顔のまま
細い腕を伸ばして、小さく頭を小突いた。
掛井四辻
小突かれる。その力のない感触を、受け止めて。
掛井四辻
「……なりゆきさんだから、できたんです、よ」
松頼 成之
「お前だからできたんだ。」
松頼 成之
「そのくらい、信じてやれよ お前もさ。」
掛井四辻
「なら、お互い、やればできるってことですね!」
松頼 成之
「やっぱお前には言われたくねぇ」
松頼 成之
それは僅かばかりいつも通りの他愛ないやりとりのような
松頼 成之
ささやかな日々の一続き。
掛井四辻
ふふ、と少しだけ笑う。
……そうやって、過ごしてきた。
掛井四辻
それが、どう考えても正しくなかったとしても。
どうか、後悔はしたくないと、願う。
GM
25年の2ヶ月は一瞬のことだが、1年の2ヶ月は人生の1/6だ。
GM
 
掛井四辻
トリガー忘れにより狂気カード『虚無感』を現時点でオープンします。
[ 掛井四辻 ] 狂気カード:4(顕在:1 → 2)
虚無感
トリガー:自分の【生命力】が減少する。
 どれだけ苦労すれば報われるのだろう?永遠にこんなことを続けるのだろうか?あなたは突然、虚無感に襲われる。
 以降、自分が再挑戦を行うためには、余分に【生命力】か【正気度】を1点消費しなければいけなくなる。
GM
 
掛井四辻
「……なりゆきさんは」
ふと、口を開く。
松頼 成之
「待った。」
松頼 成之
「……それ、重い話?」
掛井四辻
「そうですねえ、重いかどうかはなりゆきさん次第です。……なりゆきさんの話を、聞きたいなと思いまして」
松頼 成之
「じゃあさ、外行こうぜ、外。」
松頼 成之
「こんな場所じゃあ息も詰まるわ。」
掛井四辻
「そうですね」
そう言って、軽い調子でぴょこんと立つ。
松頼 成之
「ず~っと、下ばっか見すぎだろ? 上がってこうぜ、最後くらいはよ。」
松頼 成之
そういって屋上に誘い出す。
片手に手帳と、シュークリームを抱えて。
松頼 成之
「あ~おまえ、外だめなんだっけ?」
 階段を登りながら、やけに軽々と。
掛井四辻
「ああ~、そうなんですよね。外とか、何か……空気の悪いとことか、全部ダメなんです。まあ、別に困ったことないですけどね!」
松頼 成之
「お前が困らない時は大体俺が困るの。」
松頼 成之
「別にお前が死んでも構いやしねぇけどさぁ~?」
松頼 成之
どうせ俺も死ぬだけだし。 と言いたげににっこり。
掛井四辻
「あっはは、僕は死にたくないですよ。少なくとも、その時までは」
松頼 成之
「なはは!そう言ってくれると俺もうれしいよ。」
松頼 成之
「な~んてな! ほら、そこ曲がってずっと行く~」
松頼 成之
はよはよ、と 背中を押して。
掛井四辻
「はいはーい」
言われるがままに歩いていく。
松頼 成之
そうして、長い廊下をゆくと、開けた場所に出る。
それは大きなガラス張りの待合室。
職員の休憩室を兼用しているのかやや広々とした作り。
無菌室の院内では珍しく、遠くの景色が良く見える。
掛井四辻
「わあ……、こんな場所、あったんですねえ」
目にしたのは初めてかもしれない。
松頼 成之
「もちろん関係者以外立ち入り禁止だけどな!」
掛井四辻
「ふふ、だと思いました」
松頼 成之
「ケッチくさいよな~こんな場所あんのに。
 カップ自販機もあっけど、今日は小銭持ってきてねぇんだよな。」
GM
職員と言っても、研究員の方の待合室かもしれませんが。幸いなことに誰もいません。
掛井四辻
「じゃあ自販機は今度の楽しみってことで」
松頼 成之
そういって伸びをしながらソファに座る。
どうせこの時間には誰も来ない。それをこいつは何故かよく知っている。
松頼 成之
「またおばちゃんに頼まねぇとなぁ」
掛井四辻
「おばちゃんにお世話になりっぱなしですねえ~」
松頼 成之
「だな~ お前もなんか一発芸とか覚えろよ 早いとこ礼しなきゃだろ。」
掛井四辻
「ええ~、それはなりゆきさんのお仕事だと思いますけど~。まあ、でも、そうですね。……僕もお世話になってるのは、確かです」
松頼 成之
「こういうのも、生きてるうちが華ってな~」
他愛もない日常のなかにふたり。
今はひろい空のもとに座っている。
掛井四辻
「そうですね。……生きてるうちは、エンジョイしないと嘘ですからね」
空を見る。ガラスの向こうの空。
……まだ、そのガラスをこえたことのない、空。
松頼 成之
「んで、なんだっけ?
 おまえ、一発芸の指南受けにきたんだっけか。」
 ペンの中心をもってゆらゆらしてみせる。
松頼 成之
なんと!こんなにペンがふにゃふにゃに曲がって見えるではないか~!
掛井四辻
「ええ~、そんなこと言ってませんよ~。そんな古典的な一発芸、流石に僕だって知ってます~」
何故知っているのかはよくわからない。
掛井四辻
「なりゆきさんについてのお話。……もう少し、聞けたらいいなって思ったんです。きちんと、こうやって、聞いてみたこと、無かったから」
松頼 成之
「1年ちょいの若造に古典の何がわかるってんだよ。」
松頼 成之
「あ~俺のはなし? もうしただろ。あれで全部全部。」
松頼 成之
「他に何もねぇ男よ、俺は。」
掛井四辻
「でも。……もう少し、聞かせてくれませんか。繰り返しでもいいんです。なりゆきさんが何もないって言ったって……僕は、『なりゆきさんのお話』が聞きたい」
松頼 成之
「は~俺嫌なんだよなぁ こういう話。
 病は気からって言うじゃんなぁ
 なんか人生向き合わされるみてぇなかんじ。」
掛井四辻
ぱちり。ひとつ瞬き。
松頼 成之
主治医に突っかかってるのをよく見かけるが…
たぶんそういう事も関係しているのだろう。
松頼 成之
「繰り返し繰り返し、何度したかわかんねぇ。」
松頼 成之
「代わりにさ、未来の旅の話とかしようぜ?」
 あくまでごまかすつもりだ。
掛井四辻
「……そう、これからの話を、するためにも。僕は、やっぱり、なりゆきさんの話が聞きたいんです」
こういう時に限って強情だ。
松頼 成之
「そうだなぁ、これからのはなし。これからのはなしか……」
松頼 成之
空を見上げながら、想い巡らせる。
掛井四辻
空は、どこまでも遠い。
僕には手の届かないと思っていたもの。
掛井四辻
……もしくは、『なりゆきさんなら届く』と信じている、もの。
掛井四辻
「……聞かせてくれませんか?」
松頼 成之
こいつはきっと、何かを期待しているのだろう。
俺の先があるのだと、未来の行く末がきっとあるのだろうと。
掛井四辻
僕は、ただ。
どういう形で終わるにせよ、知らないままではいたくないと、思っただけだ。
掛井四辻
松頼成之の【秘密】、調査します。
《第六感》でいかがでしょうか。
GM
はい。判定どうぞ。
掛井四辻
2D6>=5 (判定:第六感) (2D6>=5) > 6[2,4] > 6 > 成功
掛井四辻
はい、狂気カード開きます。
[ 掛井四辻 ] 狂気カード:4(顕在:2 → 3)
狂気:忌み数
トリガー:同じシーンに登場している誰か(自分含む)が行った判定のサイコロの出目に4が含まれている。
 あなたは4という数字を恐れている。なぜなら四は死に通じているからだ。
 トリガーを満たしたキャラクターの中からランダムに選んだ一人に2点のダメージを与える(未公開の【狂気】が四枚以上になったせいで、この【狂気】が公開された場合、自分が2点のダメージを受ける)。
GM
はい。
GM
そしてさらにもう1枚トリガーです。PC1どうぞ。
松頼 成之
へえい
[ 松頼成之 ] 狂気カード:3(顕在:0 → 1)
狂気:陰謀論
トリガー:自分が調査判定の目標になる。
 あなたは何者かに監視されている。この国家的陰謀をみんなに教えなければ……。
 この【狂気】が顕現化したシーンに登場しているPCの中から、ランダムに1人を選び、そのキャタクターの【正気度】が1点減少する。
GM
これ自分も含むのかな。含みそうだな。登場しているPCからランダムって書いてあるな。PC1は1d2どうぞ。
松頼 成之
1d2 (1D2) > 2
GM
というわけでPC2が突然めちゃくちゃ弱ります。
掛井四辻
……少なからず、終わりを、意識する。
体の内側から崩れていくような、感覚。
少しでも「外」に触れてしまったからだろうか、この体を痛みが、苦しみが、蝕む。
……せめて、その瞬間には、楽であればいいと思いながら。激しく咳き込む。
掛井四辻
生命力2、正気度1減少します。
[ 掛井四辻 ] 生命力 : 3 → 1
[ 掛井四辻 ] 正気度 : 4 → 3
GM
では秘密を公開します。
松頼 成之
それに引き換え、男は朗々と語る。
それはまるでどこかへ旅にいくような、夢見心地な様子で。
GM : 【PC1秘密】
 ショック:なし
 あなたは末期のがん患者だ。
 もはやがんは治る病気になった。最新鋭の治療を受けられる病院に転院して1年が経ったが、未だに抗がん剤や放射線治療が行われているままだ。正直なところ、怪しんでいる。
 本当に、自分を治してくれるのか。そうじゃないのなら、いっそ死んでしまいたいとも思う。
 あなたの本当の使命は、【この病院の謎を解き明かし、自分の意思でこの先を決めること】だ。
 初期狂気:疑心暗鬼
松頼 成之
「……んでな、あっちこっち旅をすんだよ。
 そのたびに、どんどん弱っていくわけ。」
松頼 成之
「そして、旅の末路はそう、お前だ。」
松頼 成之
「楽しいだろう、愉快だわ。
 これが俺の生きる意味ってワケ。おっかしいだろ?」
松頼 成之
「大人にいたぶられ、生命を弄ばれ」
松頼 成之
「いたいけな若人は未来を奪われた。
 その行く末すら、その大人の手の中ときた。」
松頼 成之
「だからさ……俺、復讐してやろうとおもってさ。」
松頼 成之
「少しづつ少しづつ、この辺り調べてさ。
 おばちゃんのコネとかつかってちょっと盗みに入ったりして。
 そしたら、なんとこれまたびっくり。俺の為に死ぬ奴がいるだとか!」
松頼 成之
「な?バカも大概にしろっての。
 手の中で転がされてんじゃねえよってのな。」
松頼 成之
ああ、もちろんお前の事だよ。 なんて不用意に強く小突いて。
掛井四辻
「いたっ」
小突かれて思わず声を上げる。死を思う苦痛が少しだけ引く。意識が、現実に引き戻される。
松頼 成之
「おまえ、限界なんだろ。
 とりあえずコレ食っとけ、嗜みよ。」
 シュークリームを一つ頭にのせる。
掛井四辻
「はは、ダメですね~。体はきちんと整えとかなきゃいけなかったんですけど。無茶するなりゆきさんの癖が、うつっちゃったみたいです」
シュークリーム、ひとつ。その手触りを確かめる。
松頼 成之
そこからひとつ零れ落ちる。 小さな痛み止め。
松頼 成之
「それはおまけで。」
掛井四辻
ちいさな、痛み止めを手に取る。
眩しそうに、その人を見やる。
掛井四辻
「ありがとう、ございます」
松頼 成之
これもまたくすねてきたものなのか。
一応ちゃんとした…薬のはずだ。たぶん。
(鎮痛剤譲渡しときます)
掛井四辻
鎮痛剤1つ、受け取ります。
[ 松頼成之 ] 鎮痛剤 : 1 → 0
[ 掛井四辻 ] 鎮痛剤 : 0 → 1
松頼 成之
「俺、やたら丈夫だかんな~ 悪運がつええのよ。」
掛井四辻
「それは、純粋に幸運なんですよ、きっと。……僕は、そう思いたいですね」
掛井四辻
「それと、話しづらいこと、話してくれて、ありがとうございます」
松頼 成之
「幸運ついでに……逃げちまおうかな、このまま。」
松頼 成之
にっといたずらに笑って。
掛井四辻
「もし、逃げるなら」
掛井四辻
「……一緒についていって、いいですか」
松頼 成之
「さぁ? 俺についてこれたらな~」
松頼 成之
「俺の足は早えぞ~」 大きな空を見上げて。
掛井四辻
ふふ、と。その言葉にはちいさく笑って、シュークリームを齧る。
掛井四辻
「ついていけるかは、わからないけれど。僕は、なりゆきさんの旅が、見たいんだと思います。今まで、見られなかった分まで。『これから』も」
松頼 成之
『いままで』も『これから』もこの場所では絵空事でしかない。
ガラス張りの空を、ただふたりみあげるばかり。
けれどこの『今』の接点を大切におもうように、シュークリームをひとかじり。
松頼 成之
「どっか遠くにいきてぇなぁ」
GM
25年も、1年も、今この瞬間は何の区別もない。
GM
 
松頼 成之
「それで……お前はどうするんだよ、病室に戻るか?」
 ガラス張りの空をみながら心配そうに見やる。
松頼 成之
 無菌室に慣らされた身体、あまり出歩くのもよくないのだろう。
 けれど、自ら病室に戻る気にもなれなかった。
掛井四辻
「あっはは、そうですね。その方がいいってのは、わかってます。いやはや、虚弱でいやんなっちゃいますよ」
掛井四辻
「……でも、今は、なりゆきさんとお話ができるなら、僕は、どこでも構わないですよ」
掛井四辻
「『どのような選択がなされるにせよ』残された時間は、そう長くありませんしね」
松頼 成之
「それならもう少し、ここにいようか。」
 流れる雲、差し込む光、代わる代わるの形を変える景色。
 小部屋に押し込まれた生活よりもまだ
 この場所の方が、非日常に近い気がした。
松頼 成之
「……お前ちょっとそこ座ってみ。」
 ちょいちょいと窓辺のソファを指し示す。
 身体の様子が悪いなら肩を貸すことになるだろう。
掛井四辻
まだ、体は問題なく動く。少し、苦しくはあるけれど、それでも。示されたままに、窓辺のソファに腰かける。
松頼 成之
腰を落ち着けたのを確認すると、一歩二歩と下がって
落ち着きなさげに、行ったり来たりしてから……地べたに座り込む。
「よ~し、ここ。ここだな。」
松頼 成之
後ろから影が差す。 画角はばっちり。
「え~四辻君、今日の加減は如何ですか。」
 手帳とペンをとりだすと、何故だかインタビューがはじまる。
掛井四辻
「……えっ、何ですか、突然?」
きょとんとする。
松頼 成之
「なにってインタビューだよ、インタビュー!
 お前についていろいろ根掘り葉掘りってやつ?
 あ、自己PRがあるならもちろん大歓迎だが。」
掛井四辻
「根掘り葉掘りなんて、大体言えるようなこと全部言っちゃったじゃないですか~」
そう言いながらも、何だか普段と違う空気感は、それはそれで面白いと思う。
松頼 成之
ペンをカチカチとやって、催促する。
手元は既になにかを書き取りはじめている。
慣れた手つきで滑らかに。
松頼 成之
「じゃあ好きな女の子のタイプとか?
 胸はでかいのが好きとか、逆に慎ましやかなのが好きだとか!」
松頼 成之
「お前ってば、そういう色気がねぇのよな~
 ほら、男同士だろ?さっさと答えろよ~!」
掛井四辻
「好きな女の子か~、正直、考えたことなかったですね。ああ、でも」
掛井四辻
「きっと……、話していて、それだけで楽しくなるような。わくわくさせてくれるような。そういうひとなら、よいなって。思いますね」
松頼 成之
「あ~つまり…………俺みたいな!?」
 おどけて笑って見せる。
掛井四辻
「あっはは、なりゆきさんみたいなひとは、なりゆきさんだけで十分だとは思いますけどね!」
松頼 成之
「なになに、俺ってばオンリーワン存在ってこと!?
 いやぁ照れるなぁ~! 女の子にも引けを取らないこの魅力よ。」
松頼 成之
ペンを回してキメ顔を作ってみせる。どうよ?
掛井四辻
「そりゃあもう、オンリーワンもオンリーワンですよ。少なくとも、僕にとっては」
松頼 成之
「ばーか、それしか知らねぇ癖にいっちょ前言いやがって。」
ペンを置くと、パレットをとりだして。水筆で薄い青を引く。
掛井四辻
「ふふん、つまりは、それだけピュアな目でなりゆきさんを見ているということですよ。ぴゅあっぴゅあですよ」
松頼 成之
「ぴゅあ~なやつが、俺に楯突くか~?
 素直にはいはい言う事きいてりゃいいのにこの口はよ~」
黄色、緑、赤、オレンジ……
白紙に少しづつ色が足されていく。
掛井四辻
自分からは、なりゆきさんのやっていることは、その手の動きしか見えないけれど。少しずつ、少しずつ、何かが進んでいるのは、わかる。
松頼 成之
「そんなんだと女の子にもモテねぇぞ~
 女の子は隠し事と嘘つきが嫌いなんだよ。」
 そしてべらべらと喋って怒られるのがこの男である。
松頼 成之
色と色が交じり合って、溶けていく。
あなたの声を聴きながら、表情をみて、景色を写し取る。
掛井四辻
「あっはは、心しておきます。結構これでも正直に生きてるつもりなんですけどね?」
信用ならない。
松頼 成之
「ま、それも含めてお前はお前。
 己の性質でせいぜい苦労しろってことだわな!」
信用ならないその顔も、心根も、己が眼で見据えてかきとる。
松頼 成之
残り僅かなこの時間を、掬い取るように。
松頼 成之
(芸術で秘密2の調査しようとおもいます)
GM
はい。判定どうぞ。
松頼 成之
2D6>=5 (判定:芸術) (2D6>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
秘密を公開します。
【PC2秘密2】
 少しだけわがままを言ってしまったのだ。本来、患者と治療用ホモサピエンスはわざわざ同室になり、会話を交わす必要はない。けれど、あなたは気になってしまった。自分を生きる糧にして生きていく人間のことが。
 この秘密が公開され、あなたがこのことを謝ることができた場合、PC1の得る功績点が1点上昇する。
 初期狂気:予知夢(この初期狂気は秘密1が公開されたシーン末に発火する)
GM
▽PC2の使命に関連する処理を行う。
GM
……穏やかな時間が流れていく。
GM
水筆がすくい上げる僅かな時間の中で、あなたは思うだろう。
GM
決して、今までのことは無意味なことではなかったはずだと……
松頼 成之
「ほれ、できあがり。」
松頼 成之
まだ半乾きの紙切れをノートから破りとって、
四辻に差し出してみせる。
松頼 成之
それは空を背景に佇むあなたの姿。
あたたかなこの場所、広い空の下で笑うひとりのひとの在り様。
掛井四辻
「わ…………」
今までも、なりゆきさんの絵を、見たことがなかったわけではなかったけれど。
掛井四辻
空を背景に、「そこにいる」自分。
それは。
……それは。
掛井四辻
「……やっぱり、なりゆきさんは、すごいなぁ」
それは、素直な賞賛。
いつだって、自分一人では絶対にたどりつけないところにいる、その人に対する。
松頼 成之
「ったりめぇよ!疑いようもねぇわ!
 画伯の貴重な一点ものだぜ?大事にしろよな。」
松頼 成之
それは、彼の瞳が映すもの。未だ残る想いの筆書き。
この景色の鮮やかさにはまだ遠い、
けれど確かにその一片を描きうつした色彩。
掛井四辻
「うん。……うん。大事に、します」
掛井四辻
僕には、なりゆきさんの目に映るものを、理解できるわけではない。
けれど、こうして、そのひとかけらでも、共有することができるなら。
掛井四辻
……それは。
掛井四辻
「嬉しいな……」
松頼 成之
「そっか。」 満足そうに伸びをして。
 ただ、その景色が移り変わる様を眺めていた。
GM
 

GM
▽マスターシーンを挿入する。
GM
……そうして、松頼成之の手術の日が訪れた。
GM
前日から絶食。朝からいろいろなところが慌ただしくしており、あなたは否応にでも今後起こることについて考えざるを得ない。
GM
自分は生きる。
GM
隣の彼は、恐らく死ぬ。
GM
死ぬために生まれてきたいのちの価値は、あなたの絵でどれだけすくえたろうか。
GM
その問いの答えは出ない。
GM
控えめなノックの音がした。
松頼 成之
「…………。」
 その音には、答えない。
 解はただなく、日常はただ流れるのみで。
 ただ自分の手のひらを見つめていた。
主治医
「……。失礼します。」静寂を無遠慮に引き裂き、その男はーー主治医は現れた。
主治医
「いかがでしたか、“探検ごっこ”は。」
松頼 成之
主治医を見やる。見慣れた嫌味な顔だ。
松頼 成之
「全部知ってたんすか。」
主治医
口元は笑っている。目は笑っていなかった。「例えばあなたは、今この瞬間しか描けないものを見つけたときどうしますか?」
主治医
「それと同じですよ。今この瞬間しか取れないデータは、今取るべきものです」
主治医
「あなたが“面白い”患者で助かりました。今後どうするかについての知見は十分に確保できたと言えるでしょう」
松頼 成之
「やっぱお前とは相いれねぇわ。」
松頼 成之
「お前がやろうとしてるのは観察だけか?」
松頼 成之
「俺ならすべて確かめて、すべて写し取ってみせるよ。」
掛井四辻
じっと。その言葉を聞いている。
せめて、一つでも、取り落とさないように。
主治医
「観察とは実験のひとつです。自我を持った治療用ホモサピエンスの相手としては、あなたは実に適切な相手だったと思いますよ?」
主治医
「そもそも、会わずに済んだものを、こうして眼前に置いているのですから。その機会に感謝すべきでしょう。」
松頼 成之
「知らねーよ。俺は見世物見に来たんじゃねぇんだしさ。
 俺はただの死にぞこないの患者、あいつが主眼なら俺の役目はもう終了でいいんじゃないすかね。」
看護師
「……悪いな、松頼くん。俺たちはみんなこっち側。」
看護師
「君たちがそうやってうろついたことによって発生しうる事象は、まだ観測しなければならないものだ。」
看護師
「君は死に損ないじゃないんだ。……生きていかないと、報われないよ。」
主治医
「……甘いことを……」
松頼 成之
「それはお前らの価値観だろうがよ。
 いいじゃねぇか、俺が死のうが生きようが関係ねぇだろが。」
主治医
「そうですね。関係ありません。ですから、あなたたちの腹を割いて、何か問題でも?」
主治医
「ただ、あなたに適合した臓器を詰め替えるだけのことではないでしょうか。」
松頼 成之
「だからそれがいらねぇ世話だつってんだろ!!」
松頼 成之
だん!と、ベッドを殴りつける。
主治医
「……あなたは欠片も考えたことがなかったでしょうが……治験、という言葉はご存知ですかね」
松頼 成之
「……ああん?」
主治医
「あなたがここで過ごしていた1年間。入院代は果たして如何ほどでしたでしょうか」
主治医
「それを一切請求されていないということが、何を意味しているか……」
主治医
「ーーまさか病院を渡り歩いておいて、分からない頭ではないですよね。」
松頼 成之
「知らねぇなぁ。俺が死ねばもう関係ねーだろ。
 少なくとも俺はそういう患者、お前らは自我をもった人間の身体をバラバラにする倫理観のない医者。違うのか?」
主治医
「医学博士を持った研究者でいいですよ。……例のアレを」
看護師
「……はい。」
GM
▽プライズを2種類公開する。
プライズ「ターレントガン」
拳銃の型をした注射器。何故かPC1の手に良く馴染む。
プライズ「アルナガン」
拳銃の形をした注射器。何故かPC2の手によく馴染む。
主治医
「あなたがどれだけ喚こうが、今日行われることは決定されています。」
主治医
「ならば、あなたたちが選択してください。あなたたちがどうするかをね」
GM
▽儀式情報を公開する。
【儀式】
 拳銃型静脈認証注射器による薬剤投与
 手順1
 精神を落ち着ける……好きな【情動】分野の特技
 手順2
 PC2の所定の場所に銃口を押し付ける……好きな【知覚】分野の特技、あるいは【生物学】【医学】(生物学・医学の場合+2の補正を与える)
 この手順はPCのどちらが行っても構わない。
 手順3
 引き金を引く……好きな特技(ペナルティ:−2)
GM
▽このプライズはどちらか1つしか獲得できない。および、(基本的に)取得後の変更もできない。
GM
銀色の盆の上に、2つの拳銃型の注射器が置いてある。もはや見慣れたもの。けれど、その引き金を引いてしまえば、決定的な選択をもたらすもの。
主治医
「散々喚いて、子供のように蹲っていてもらっても結構です。そのときは、私たちが決定します」
主治医
「あなたたちにあるのは“選択する権利”だけです」
松頼 成之
「これでどうしろって? 殺し合いかなんかでもするつもりか?」
GM
▽クライマックスは2ラウンド制限である。エネミーは出現しない。
▽2ラウンドの間に儀式が達成されない場合、控えている看護師たちにより“選択”がなされ、PCたちは戦闘から脱落した扱いとなる。
主治医
「殺し合い?何を申し上げているのでしょう。生きるか死ぬかの際にいるのは、あなただけです」
松頼 成之
「……じゃあこいつの命は?」
主治医
「あなたはフラスコに命を見出すのですか?」
松頼 成之
「まさか、勘定にいれてねぇってか……!?」
松頼 成之
「これがただのフラスコか!?
 見てきたんだろうがよ、これまでずっと、ずっと…
 てめぇらの脳みそ入れ替えた方がいいんじゃねぇの?」
看護師
「……知ってるかい、松頼くん。昔の話だけど」
看護師
「昔は、そもそも臓器は他人からもらうしかなかった。それも、ごく限られた状態に陥ってしまった人間から」
看護師
「……だから、今は恵まれているんだよ。誰かが意識不明になるのを待たなくていい、誰かがもう目覚めないまま生かされていることを待たなくていいんだ」
松頼 成之
「意識不明待ちなら上等だわ。俺は別に死んでもいい。
 けどな、こいつにはきっちりしっかり意識あんじゃねぇかよ。」
看護師
「……そうだね。けど、君のために1年を掛けたことを無碍にするかい」
看護師
「俺は……たぶん、できないな」
松頼 成之
「……じゃあ 俺よりこいつを生かせよ。
 同じだろ、しっかり1年かけた お前らはこいつを生かしたんだ。」
看護師
「……そろそろ話していいよ、掛井くん。君の言葉も必要だ」
主治医
「……」冷ややかな目を向けていた。
掛井四辻
閉じていた目を、開いて。
掛井四辻
なりゆきさんを、見やる。
掛井四辻
「僕の言葉が必要、だなんて。それはちょっと違うと思うんですよ」
その言葉は看護師に向けたものだが、看護師の方を見ることはなく、目はなりゆきさんを向いて。
掛井四辻
「なりゆきさんは、きっと、自分で決めるんだと思ってますから。何を選ぶにせよ……『選ばない』ことだって」
掛井四辻
「だけど、そう、……嬉しかったんです。なりゆきさんとお話ができたことで、『何も選ぶことのない』と思ってた僕も、ひとつだけ、選ぶことができた」
手には、空を描いた絵。そこに立つ自分の、絵。
掛井四辻
「僕は。なりゆきさんの『これから』が見たい。なりゆきさんの目で、足で、確かめる世界が知りたい。僕は……、わがままですからね。なりゆきさんが嫌だって言ったって、そう願うのをやめません」
掛井四辻
「こんなことを言ったら、『自分が』生きるのを諦めている、って。なりゆきさんは言うのかもしれないけれど。それでも、僕は……、そうしたい」
松頼 成之
「見ろよ、1年ちょっとでいっちょ前言ってのける
 俺にもま~厄介なファンが出来たもんだぜ。」
掛井四辻
「あっはっは、そりゃあもうとびっきりのファンと自認しておりますからね!」
松頼 成之
「あ~あ、せっかくできたファンを一人失っちまうのか~…」
掛井四辻
「やですね~、僕が死んだくらいでいなくなると思ってますか? まあ、なりゆきさんがそう望むならそれでも仕方ないとは思うんですけど」
松頼 成之
「はは、お前 見るからにしぶとそうだもんな。」
松頼 成之
「……いいぜ、お前がそう願うなら。
 ただ、ひとこと聞かせてくれ。
  お前は……生きていたい か?」
松頼 成之
「お前は、掛井四辻はここに生きていた と証明できるか?」
掛井四辻
「正直、これから先、『生かされるだけ』というならごめんですね~っていうだけの色気は出て来ちゃいましたね!」
掛井四辻
「僕は、生きている。そして、これからも生きていたいと思う。でも、ただ生きるだけじゃダメなんですよ。生かされてるだけと、何も変わらない」
掛井四辻
「だから、僕は……『なりゆきさんと一緒に生きていたい』と願うんです」
松頼 成之
「それじゃ、決まりだ。」
 あなたの手を握る。
 「俺の『選択』は……これしかない。」
松頼 成之
「……逃げるぞ、四辻。」
 小声でささやいて、ベッドから飛び起きる。
掛井四辻
目を閉じる。
掛井四辻
そのささやきを、確かに聞いた。
掛井四辻
「……どこへ?」
松頼 成之
「決まってんだろ、ここよりもずっと遠くだ。」
主治医
「……あなたの選択肢はそれですか?」
掛井四辻
わらう。
掛井四辻
「……それが、なりゆきさんの選択なら」
主治医
「いいことを教えてあげましょう。“それ”は、持ち出せばすぐに死にますよ。実に無様に」
主治医
患者に向かってやる動作ではないが、拳銃型の注射器を片方投げつける。
松頼 成之
「……知ってるよ。でも、お前らにとってはただのフラスコでしかないんだろう?」
GM
▽「アルナガン」の秘密を公開する。
「アルナガン」秘密
 この中に含まれているのは免疫賦活剤である。
 このプライズを選んだ場合、儀式の最後の手順は必ずPC2が行わなければならない。
看護師
「……ですが。」
主治医
「不要なものは破棄しなさい。」
主治医
「……掛井四辻に施されている免疫系統の抑制は、ノックダウン方式で行われています。」
主治医
「それらがあなたの選択だというのであれば、私たちはそれを記録するまでです。」
主治医
「ただし」
主治医
「松頼さん。あなたには現時点で受けられるものはきっちり受けていただきますからね。」
掛井四辻
呆然と、拳銃型の注射器を見つめる。
松頼 成之
「うるせー馬鹿主治医!!
 俺はお前らの手のひらの上では踊ってやんねぇんだよ」
松頼 成之
「やれるもんならやってみやがれ!!
 お前らの研究がどうあれ俺は全却下だ!!」
主治医
「はて……掛井さんがどう思われますかね。」
主治医
「せっかく啖呵を切っておいて、早々に死にたいのか?と聞いているんですよ。」
主治医
「入り口と窓を塞ぎなさい。」
GM
▽クライマックスフェイズに移行する。
GM
選択は成された。
GM
であれば、最善の処置と手段を。
GM
▼プロット
GM
PC2は錯乱しているためランダムプロットになります。
掛井四辻
ではプロット振る前に鎮痛剤を使用。
[ 掛井四辻 ] 鎮痛剤 : 1 → 0
掛井四辻
生命力を回復します。
[ 掛井四辻 ] 生命力 : 1 → 2
松頼 成之
プロットOKです!
GM
▼プロット公開▼ PC2は1d6どうぞ
掛井四辻
1d6 (1D6) > 5
[ 松頼 成之 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 掛井四辻 ] がダイスシンボルを5 に変更しました。
GM
▼戦闘開始:2ラウンド制限▼
GM
▼プロット5▼
GM
PC2の行動です。
掛井四辻
「なりゆきさん。……ああは言いましたけど、実際、僕の願いを叶えてくれる気はあるんですか?」
注射器を構えて、いつもの調子で問いかける。
松頼 成之
「俺に生きてほしい、俺の行く先が見たい……か?」
掛井四辻
「ええそうです。僕が一人で『生かされる』だけじゃ意味ないですからね。生きるなら、僕は僕の願いを叶えたいってもんです」
松頼 成之
「その答えなら、『イエス』をくれてやろう。
 それが……おまえが望む答えだろう?」
松頼 成之
閉鎖された病棟を駆けていく。当て所なく、閉じられた扉を縫って。
掛井四辻
「そりゃあ僕の望む答えですけど」
掛井四辻
けれど、本当に欲しいものは。
掛井四辻
「いいんですよ、なりゆきさんは、なりゆきさんの望みを突っ張っても。これは『僕の』わがままで、なりゆきさんのものじゃない」
松頼 成之
「やっぱばっかだな、お前。
 俺がお前の為に、自分の主張を曲げると思ってる?」
松頼 成之
「俺は俺の為に生きるだけだよ。わかんだろ?」
掛井四辻
「ふふ。……なら、なりゆきさんは、なりゆきさんのために、『これから』も全力で生きてくださいよ。『誰かの手のひらの上で踊るのは嫌だ』っていうなら、自分で全部利用してしまえばいい」
掛井四辻
「ま、どうあれ、僕は、なりゆきさんの大ファンなんですからね! 嫌がられたって付きまとってやりますよ!」
松頼 成之
「……じゃあさ。
 俺にひとこと書いてくれよ。」
松頼 成之
ペンとノートを差し出す。
 「ファンレター、ってやつ?」
掛井四辻
……差し出されたペンとノートを見る。
松頼 成之
「言っただろ。俺は…お前の生きた証がほしい。」
掛井四辻
「まーかせてください! ファン渾身の一筆、見せてやりますよ」
受け取る。……それが、なりゆきさんの望みであるなら。
掛井四辻
素早く、ペンを走らせる。
その口元には笑み。
いつだって、そうして笑ってきた。
掛井四辻
結局のところ、それがよかったのかはわからないまま。それでも、自分が今、できることを、する。
掛井四辻
手順1、試みます。特技は《笑い》。
GM
どうぞ。
掛井四辻
2D6>=5 (判定:笑い) (2D6>=5) > 3[1,2] > 3 > 失敗
GM
あなたは死を思う。
GM
逃げてもその先には、どちらかの死しかない。
掛井四辻
死など。……最初から恐れるに値しないものであった、はずなのに。
掛井四辻
……おかしいな。上手く笑えない。
松頼 成之
「柄にもなく緊張してんのか?」
軽く笑って…その肩を叩く。 

「だいじょうぶだって、俺ならここにいる。」
松頼 成之
(お守り投げます
[ 松頼成之 ] お守り : 1 → 0
掛井四辻
(再判定します)
掛井四辻
2D6>=5 (判定:笑い) (2D6>=5) > 10[4,6] > 10 > 成功
GM
▼プロット4▼
掛井四辻
錯乱中のため正気度1減少。
[ 掛井四辻 ] 正気度 : 3 → 2
GM
PC1の行動です。
掛井四辻
笑顔を取り戻して。
素早く、ペンを走らせて。
ほんの一文。それだけを記して、返す。
掛井四辻
書かれた一文は、こう。
掛井四辻
『こんなものには書ききれないから。後でいっぱい話したい。 掛井四辻』
松頼 成之
「……ばかだな。ほんと。」
 ふっと、笑みをこぼしてそれを大切そうに受け取めて。
松頼 成之
「じゃあこれは俺からの餞別だ。」
松頼 成之
手を差し伸べる。
「お前がそれを『選ぶ』なら、手伝ってやんよ。」
掛井四辻
「ありがとうございます」
手に、手を重ねて。
そこに注射器を添える。
松頼 成之
「……いいか、絶対だからな。これは約束だ。」
松頼 成之
「俺はお前の願いを叶える。」
松頼 成之
その姿をじっと、見やる、たくさんの変わらない日々。
けれど、移り変わってきた1年の景色がここにあった。

ひとたび両の目で見つめる。その銃に手を添えて。
松頼 成之
手順2、特技 芸術で判定します
掛井四辻
その目を、見つめ返す。じっと。
GM
どうぞ。
松頼 成之
2D6>=5 (判定:芸術) (2D6>=5) > 7[1,6] > 7 > 成功
GM
景色が脳裏をよぎる。二人で過ごすようになったあの日。
GM
あの日は晴れだっただろうか。それとも、
GM
▼ラウンド終了▼
GM
▼プロット5▼
GM
PC2の行動です。
掛井四辻
その手で、押し付けられる銃口を意識する。
掛井四辻
自分に与えられたものは、五感と、それを感じるだけの「自我」。自我が生み出すわがままなど、余計なものだと思っていた。
掛井四辻
実際に、なりゆきさんに、ここまでの「選択」を強いることになったのだって……なりゆきさんは、否定するかもしれないけれど。
掛井四辻
けれど、なりゆきさんは、最初から今まで、僕を「そういうもの」として見てくれた。
掛井四辻
僕の望みを。
掛井四辻
願いを。
掛井四辻
叶えてくれると、言った。
掛井四辻
ならば。
掛井四辻
手順3、引き金を引く。特技《手触り》。
回想使います。
掛井四辻
宣言に伴い正気度1減少。
GM
はい。上記を回想とみなしてよろしいでしょうか。
[ 掛井四辻 ] 正気度 : 2 → 1
掛井四辻
問題ないです!
GM
秘密をどうぞ。
掛井四辻
【PC2秘密】
ショック:PC1
あなたはPC1のために作られた治療用ホモサピエンスだ。あなたは様々な技術を用い、全身を蝕むPC1の病を治すための臓器を作るためだけに存在している。ちょうど一年前に受精が行われ、一か月で生まれ、九か月で大人になった。そして、入院患者として、手術に備えるための措置を受けている。
あなたの本当の使命は、【PC1の病気を自分を使って治してもらう】ことだ。
あなたは免疫系統に手が加えられているため、完全無菌環境でなければ生きていくことができない。
あなたにはもう一つ秘密がある。
掛井四辻
【PC2秘密2】
少しだけわがままを言ってしまったのだ。本来、患者と治療用ホモサピエンスはわざわざ同室になり、会話を交わす必要はない。けれど、あなたは気になってしまった。自分を生きる糧にして生きていく人間のことが。
この秘密が公開され、あなたがこのことを謝ることができた場合、PC1の得る功績点が1点上昇する。
初期狂気:予知夢(この初期狂気は秘密1が公開されたシーン末に発火する)
GM
▽PC2秘密2が調査された(されている)場合、秘密を「PC1の病気を自分を使って治してもらう」から「PC1と共に生きる」に切り替えることができる。
GM
▽修正:回想+3 ペナルティ-2
掛井四辻
2D6>=5+3-2 (判定:手触り) (2D6>=6) > 7[1,6] > 7 > 成功
GM
ちょっと待ってね。式がおかしい
GM
2d6+3-2>=5が正しいんですが……
GM
出目7なので+1して8で成功ですね
掛井四辻
あっすみません!! 完全に変な式を書いてしまっていた
GM
引き金が引かれる軽い音がした。
GM
何の感覚もなかった。
GM
▼クライマックス戦闘終了▼
GM
 
GM
いのちのやり取りの決着はついた。否、掛井四辻をひとりの人間として認めることを、松頼成之は求めた。
GM
即ちそれは、二度と治療用ホモサピエンスが生まれないほうがいい、ということを意味している。
GM
引き金が引かれたタイミングで、体格のいい男ばかりの看護師たちが、松頼成之を囲む。
主治医
「さあ、観念しなさい。今から都合よく、私は医者になりますから」
主治医
「ここから逃げる気があるのなら、掛井四辻という男に責任を持つのなら、あなたは然るべき処置を受けるべきです。」
松頼 成之
「……くっそ、もう逃げられねぇか。」 辺りを見回して。
GM
あなたが知らないだけで、この病院……病院層と呼ぶべきか。この階層の看護師は、大多数が男性で構成されている。
GM
あなたのような暴れる患者のためだ。
松頼 成之
「……わかった、降参する。
 ただ、俺に責任を問うならお前らもきちんと責任を持つんだろうな。」
主治医
「ヤブ医者だとでも思いましたか。外に出たら調べてくれて結構ですよ」
看護師
「まあ……そういうわけでさ。松頼成之さん。あなたの手術は予定を変更して行われる」
松頼 成之
「はは、さぞ権威のあるお医者さんなんでしょうねぇ。」
看護師
「すべてを取り除くことは、かなわない。あなたはこれからも、それに怯えながら暮らすことになる。……それが、君たちの選択に対する、俺たちの責任だよ。ですよね」
主治医
「ええ。本来ならば全てを取り除く予定だったのですが」
主治医
「徹底的に取り尽くすことは不可能でも、寛解……もはや懐かしい言葉ですね。そこまで持っていくことは可能でしょう。そのあとどうするかは、あなたの選択」
松頼 成之
「つまり普通の医療をってことか?
 つまんねぇ責任だな、命を扱うにしちゃあ随分軽い……」
松頼 成之
「まぁ、でも それを望むやつもいることだし。
 ……折れてやるよ、こいつがいる限りはな。」
四辻に視線を向ける。
主治医
「こちらのプランを跳ね除けてよく言ったものです。……ああ、安心してくださいね。あなたが眠っている間に殺すとかいうことはありませんよ。」
主治医
「ここはそういう場所なのです。自主的な選択こそが至上であり、ただ生かされるだけの人があってはならないと。かつて誰かが定めたように」
掛井四辻
視線を向けられる。
なにとはなしに、笑ってしまう。
看護師
「……むなしいもんさ。医学が発達したから、普通じゃ生きていられないような人だって、ずっと生きていられるようになった」
松頼 成之
「自主的な選択? その割には随分無視してくれたじゃねぇかよ。」
看護師
「それは本当にその人の幸せなのか。それは本当にその家族の幸せなのか。」
松頼 成之
そう愚痴りながらも、耳を傾けている。
幸せとは、なにか。
看護師
「……俺が駆け出しのぺーぺーだったころの、昔の話だよ。今はもう起こらない、昔の話」
主治医
「脳死患者ですか。あれも取り扱いの意見が分かれるところではあります。管を通し、人工的に肺に空気を送り、血管から栄養を取らせ続けるため、病床を圧迫する……」
松頼 成之
「そりゃあ嫌な世の中になったもんだな。
 もっと爽やかに殺してくれって思ったもんだよ。
 少なくともこういう小難しいやつにどうこうされたかないね、俺は。」
主治医
掛井四辻を見る。「言ってみれば、彼らは人工的な脳死患者と表すこともできるでしょうね。異なることがあればただひとつ」
主治医
「あなたのために引き金を引いて、死ぬための存在だったんですよ。」
GM
手を挙げた。それと同時に、看護師たちが松頼成之を取り押さえる。
GM
一本注射器が取り出され、素早くその引き金が引かれた。
GM
何も感じなかった。ただ、意識に靄がかかっていく。ーー麻酔だ。
松頼 成之
「あっこのやろ……ッ!!」
松頼 成之
意識が遠のいていく 抗うに人ひとりの力は無力だ。
掛井四辻
「わ……」
と声をあげながらも。
まあ、なりゆきさん、これまでの前科がなぁ。何となく納得はしてしまった。
主治医
「予定より押していますが、内容が変更されたので時間の変更は不要です。急ぎ手術室へ」
GM
ストレッチャーがやってくる。
看護師
「……掛井さん。結構時間かかると思うから、飲み物でも飲みながら待っていよう」
掛井四辻
「…………」
声をかけられる。……ストレッチャーに載せられるなりゆきさんと、看護師を交互に見て。
掛井四辻
「……はい」
小さく、頷く。
看護師
「俺たちをひどいと思うかい?松頼くんにああまでしてさ。」ストレッチャーと逆方向に歩きながら。
看護師
「けれど、理不尽を取り払った結果が君なんだ。何年も苦痛に耐えなくていいように、たった1年で済むように」
掛井四辻
「……うーん、ひどいとは、別に思ってないんです」
言葉を選びながら。
掛井四辻
「僕は、……僕のような存在が『必要だ』と思っていましたから。今も、あまり、そこは変わってないといえば、そう」
看護師
「そう。結局君たちは必要なんだ。……他人の臓器を持ち込むときは、どうしても免疫の拒絶反応を抑えないといけない。松頼くんがもし他人から臓器をもらっていたら……まあ、ここにいたみたいなヤンチャは二度とできなくなるだろうね」
看護師
「……これは内緒というか、話しておくべきだろうなと思ったから言うんだけど……実は君にはスペアがいて。発生異常の具合が臓器に影響を及ぼさなかったから、1個体が保持されている」
掛井四辻
ぱちり。目を瞬かせる。僕のスペアが、ひとつ。
看護師
「つっても、いくつだったかな……使える基準にあったの。だから完全ではないよ」
掛井四辻
「……よかった」
こんなことを言ったら、なりゆきさんに怒られてしまいそうだけど。僕は、どうしたって『僕ら』の『在る』意味について考えずにはいられないから。
看護師
「肥大しすぎとか、退縮が見られたやつとかは使えない。だからこれからも、あの人は……そうだな、まあ君がいたら大丈夫だとは思う」詰め所の横で、自販機のボタンを押した。
GM
がこん。
GM
缶ジュースが一本落ちる。
掛井四辻
「僕は、……ずうっと、余計なことをしたんじゃないかって、それだけが心配で」
缶ジュースの落ちる、重たげな音を聞きながら。
掛井四辻
「なりゆきさんは、自分で自分の選択をした、って言うだろうけれど。……きっと、あなた方もまた、『選択』をさせることを、求めたんだろうけど」
看護師
「……そう。俺たちは、意識のない人間に選択を強いたくない。だから君たちは“モノ”だったし、自己決定こそ何より尊重される」
看護師
「松頼くんも、もし脳死患者だったら、自分の臓器を勝手に渡すな!なんて言っただろうよ。言えたらだけどな」
看護師
「……提供カードよりずっと、手っ取り早い方向に俺たちは価値を見出したんだ。……ほれ。どうぞ」ジュースの缶を差し出す。
掛井四辻
「自己決定。……自己決定、か。確かに、『言えもしない』ものの心を考えることは、誰にも、できない」
そう呟きながら。
「ありがとうございます」
ジュースの缶を受け取る。
看護師
「どんくらいかかっかな~……ほら俺、手術室入らないタイプの方だから、ぶっちゃけ分かんないんだよね。気楽に待とうぜ、……患者、ほぼ君たちくらいだし」
掛井四辻
缶の蓋を開ける。
その手触りは、引鉄を引くよりもずっと重い。
掛井四辻
「……まあ、うん、そうですね」
一口。甘い味わいを飲み下して。
掛井四辻
「わがままを言ったな、とは思いましたし。なりゆきさんには申し訳ないことをした、という思いも、消えないけれど」
掛井四辻
だって、『僕』がいなければ、少なくともその目に触れることがなければ。なりゆきさんは、もっと安らかであったと思っているから。望む望まざるには、関わらず。
掛井四辻
「でも、望んだことには後悔はありませんし。……なりゆきさんが、願いを叶えると言ってくれたのが、嬉しいと思うことも本当ですから」
看護師
「臓器記憶とかあるって言うけど、あの跳ね馬蛮族っぷりがそのまま継承されてなくてよかったな……」しみじみと言う。
GM
そうしていくらかの時間が過ぎていって、ふつりと赤いランプが消えた。
GM
 
GM
気づいたときには、あなたは“普通の病院”にいる。
GM
より正確に言うのなら、隣の棟のようだが……そこはしっかりと“病院”をしていた。
GM
見舞いの人が行き交い、何人もの看護師と医者があちこちに動き、病室はもちろん清潔だが、そこには人の活気があった。
GM
生きようとする力。生かそうとする力が。
GM
あなたの身体につながっていたいくつもの管はもうほとんどが外れている。
松頼 成之
薄明かりを眩しそうに目を開ける。
辺りの喧騒と、自らの重たい身体を感じて…ちいさく呻いた。
松頼 成之
「くそ医者が……」
主治医
「松頼成之さーん、失礼します」穏やかな声がする。足音はふたつ。
主治医
「今日の調子はいかがですか?」掛井四辻を連れ立って、問診に回ってきた“今の”主治医だ。
松頼 成之
「ああん……?」 怪訝そうにそちらに目を向ける。
掛井四辻
「なりゆきさん、いきなりガンつけるのはよくないですよ~」
松頼 成之
「……四辻!?」 がばっと起き上がってその顔をまじまじと見た。
主治医
「噂は聞き及んでおりますし、まだマシな方ですから大丈夫ですよ。今日は良い知らせを持ってきたのです」
松頼 成之
「は~んさてはあいつ、吹聴してまわってんな……」
掛井四辻
「四辻ですよ~」
にこにこ。
松頼 成之
「お~よしよし!よくバラバラにされないで戻ってきたな!
 褒美にシュークリームを……」 いつもの癖でベッドを漁るが。
主治医
ニコ……みたいな顔をしている。「まだ食事がおかゆなんですからダメですよ」
松頼 成之
「くそ医者がよぉ~~~~ッ!!!」
掛井四辻
「そうですよ~、大人しくしてるのが一番なときもあるってことです!」
必ずしもなりゆきさんの味方であるとは限らない。それが四辻。
松頼 成之
「お前もヤツの一派か!?油断なんねぇなこの野郎!!」
主治医
「そうそう、忘れないうちによい知らせを。脱おかゆできて、通常の食事が取れるようになったら外出許可が出せます。」
主治医
ギャンギャン言われているのは見事にスルーしている。
主治医
「要するに、あなたの病状の経過は良好……ということですね」
松頼 成之
少し喜ぶ素振りをみせて、はた、と自分の腹をかかえて。
「…………俺に何した?」
松頼 成之
「ほんと~~におまえ、何にもされてないよな??」
 四辻のほうに詰め寄る。
主治医
「カルテ、見せてもいいんですけど……多分読めないですよ」見せてくれる 医者の字は本当に汚い。
GM
そこに掛井四辻の名前らしきものはない。
掛井四辻
「されてないですよ。ぴんぴんしてますよ。ご安心です」
GM
ちなみに読める赤文字で脱走癖とか持ち込み常習犯とか書いてあります。
松頼 成之
じっとみつめて……
「く、くそ……わっかんねぇ~~!!
 暗号か!?機密文章だからなのか!?」
掛井四辻
(めちゃめちゃチェックされてる……)
松頼 成之
「しっかもなんか悪口書いてねぇこれ!?」
松頼 成之
不服そうにバンバンカルテを叩いている。
「やっぱり医者は信用なんねぇな!!」
主治医
「僕も苦労するくらいですから……ええとまあ、これは……部位切除ですね。こっちもそうだな……」解説してくれる優しい主治医なのに……
掛井四辻
「悪口っていうか、完全に『あった出来事』を書いてるだけだと思いますけど~」
松頼 成之
「…ちっ んだよ くそが!!!」
やさしい主治医さんごめんなさい、でも多分逐一悪態をついています。
主治医
「これは今処方されているおくすりですね」説明終わり
主治医
「では、掛井くんは所定の時間にリハビリルームに来てくださいね。筋力をつけることが先決ですから……」
掛井四辻
「も~」
その悪態に対して呆れるしかないわけで。
松頼 成之
「くっそ~~~~!!
 俺は騙されねぇからな!!この施設の秘密ぜってー暴いてやる!」
掛井四辻
「はい、わかりました!」
お医者さんには元気にお返事。
松頼 成之
立ち上がろうとして、力が入らないことに気付く。
「やっぱりなんかしただろ!?」 このやろ~とかなんとかいってる
主治医
「何言ってるんですか、ここは病院ですよ。あまりトンチキみたいなこと言うと看護師のみなさんに白い目で見られますからね!」忠告 そして退出
掛井四辻
「なんかって、治療だと思いますけど……」
も~このひとは~って顔をしている。
松頼 成之
「見てろよあのくそ医者野郎……ぜってーこの足で蹴りいれてやる……」
掛井四辻
「暴行罪でしょっぴかれるなりゆきさんは見たくないな~」
率直な感想だった。
松頼 成之
「何言ってんだ お前も協力しろよな、四辻。」
松頼 成之
「俺はこの病院のすべてを暴く。
 そしてヤツらに目にもの言わせてやる。
 お前も証言者のひとりだからな、わかってんだろうな?」
掛井四辻
「ええ……仲間に数えられてる……」
松頼 成之
「は!俺が救ってやった命だぞ、大切に使われろよな。」
松頼 成之
四辻の腕をバシバシとたたく。
……といっても随分と力のないパンチだが。
掛井四辻
「そりゃあね、なりゆきさんに使われるのは全然いいですけど。……それが、なりゆきさんのためになるなら、ですけどね」
掛井四辻
腕を叩かれる感触。
この感じは嫌ではない。
松頼 成之
「陰謀を暴いてみろ、俺もお前も一躍有名人だぞ。」
松頼 成之
「そしたら金ががっぽり手に入る!
 そんで、支援者を募ってクラウドファンディングしてだな……
 このクソ病院をぶっつぶす!!」
掛井四辻
「はいはい」
陰謀の話は華麗にスルー。
松頼 成之
「つれねぇなぁ。
 そんだけの金がありゃあ旅行だって行き放題だぜ?」
掛井四辻
「旅行」
松頼 成之
「そうそう、ゴシップ陰謀好きどもの金をつかって諸国漫遊の旅!」
掛井四辻
「旅……旅、かあ……。金の出所はまあ、横に置くとして」
横に置くのは大事ですね。
松頼 成之
「なんとかちゅーばーとかってのもいいな。
 あんま詳しくねーけど、話題性は充分だろ。」
松頼 成之
「置くなよ!横に!!!だいじだろが!!」
掛井四辻
「なりゆきさん、もうちょっとこう、リアルに即した方向性にしません?」
松頼 成之
「俺にとってはマジモンのリアルなんだが…??」
掛井四辻
「仮にそれがマジモンのリアルであったとしても、なりゆきさんの方向性は全然リアルじゃないですね……」
松頼 成之
「お前には言われたくねぇよ。
 俺にとってはお前の存在の方がよっぽどリアルじゃねぇんだわ。」
掛井四辻
「あっはは、そりゃあそうですね~。動く! 喋る! アンリアル的なもの!」
松頼 成之
「馬鹿がよ。」ぺちっとたたく。
松頼 成之
「……で、アンリアルなおまえの思うリアルって何よ。
 せっかくのお目見えだ、ご高説賜りましょうか。」
掛井四辻
「そうですねえ……」
少しだけ、間をおいて。
掛井四辻
「今、僕の目に見えているもの。僕が触れたもの。それと、僕が、今ここにいること。……それは紛れもなくリアルなんだと、思ってますよ。僕自身がどれだけアンリアルであってもです」
松頼 成之
「そんじゃあ、これからだな。
 この俺様が断言しよう、おまえのリアルは薄すぎる!!」
松頼 成之
「リアルってもんはどんだけ高い場所に見えるモンでも
 まぁそこそこ、気合で掴み取れるもんだぜ。
 何にもやってねぇんだし……お前はまださ。」
掛井四辻
「あっはは、それはそうですね。なーに、これからですよ。すぐにぶあつーい人間になりますとも」
松頼 成之
「はは、お前には無理無理。そのへらっへら顔じゃあなぁ!
 機会があったら根っこから入れ替えてもらうといいぜ。」
松頼 成之
そんな冗談を飛ばしながらも。
その調子にすこし安堵する自分もいる。
掛井四辻
「いや~、あっさり陰謀論に染まっちゃうなりゆきさんには言われたくないですね!」
軽口には軽口で応じる。「いつもの通り」に。
松頼 成之
「真実だろうがよ、おまえのキモいクローンどんだけ見たと思ってんだよ。ぶにぶにの肉塊生まれの癖に……」
松頼 成之
ぺちぺちとたたく。ゆるやかな手首だけの動き。
筆を持つにはもうしばし時間がかかるだろう。
掛井四辻
ぺちぺちと叩かれる感触を確かめながら。
掛井四辻
「でもほら、僕はこうして人の形で生きてますし。こうなったからには、なりゆきさんにも生きてもらわないとなりませんし!」
力強く宣言する。
松頼 成之
叩いていた手のひらが、滑り落ちる。
そして、呆れたように天井をあおいだ。
松頼 成之
「あ~……生きるのって、めんどくせぇな。」
松頼 成之
身体が重たくて仕方ない。
ここからすぐさま逃げ出して楽になれればいいのに。
生かされている ……こいつのせいで。
掛井四辻
「めんどくさいなら、やめますか?」
松頼 成之
「……やめてもいい。」
松頼 成之
「でも、お前がそうはさせてくれないんだろ?」
松頼 成之
「これでも、信頼してやってんだぜ?
 今度は……お前がもっと面白いもん見せてくれよな。」
掛井四辻
「そうですね」
そうはさせない。させてなどやらない。
掛井四辻
「まあ、なりゆきさんには借りもありますからね、せいぜい『めんどくさい』って感じる暇もないくらい、面白い目に遭わせてやりますよ」
松頼 成之
今はまだ小さい、枠に収まる青い空を見上げる。
松頼 成之
ずっと遠くに行くにはまだ足りない。
けれど、こいつがいる限りは、まだ。
GM
空は青い。
GM
見上げた空に鳥が飛んでいく。
GM
成りゆき任せの旅か、それとも誰かのために飛んでいくのか、ここからでは区別がつかない。
GM
いつか外に出たとき、あなたたちが羽を伸ばしたとき、その答えに至るのだ。
GM
 
GM
 
GM
inSANe「ターレントガンナー」
GM
 
GM
 
GM
あなたは、誰かのために引き金を引いた。
GM
 
GM
 
GM
 

GM
 
GM
はい お疲れ様でした 想定されているテキセプレイ時間の……2倍ほど掛かっていますが……お疲れ様でした……
GM
噛み締めてもらえたなら幸いです。
すのだ
そんなにかかってるんですか!?!?!?
すのだ
(おつかれさまでした!!!!!
枳はどり
ふふ ありがとうございました
GM
ではサクサクサクサク功績点
GM
1.新たな世界の発見
 人間の方がよっぽど怖いわボケ!!!!!!!!を主軸にしているので怪異はいないが1点ずつ!
2.セッションに最後まで参加した
 なんでそこのPC2は死にかけてるんですか?1点!
3.ロールプレイ
 大変噛み締めながらやっていただいたことを感じています。ありがとう。5000兆点(1点です。)
4.プライズ
 最後のアルナガンを協力して使用しているので両方とも所持した扱いにしていたような気がします。1点。
5.琴線
 互いにあげといて。
6.使命の達成
 PC1:この病院の謎を解き明かし、自分の意思でこの先を決めること
 PC2:PC1と共に生きる(変更済)
 わかっていると思うがもちろん……移植されて死んでもPC2使命は達成だよ!やったね!3点!!!!!!!!
GM
PC1、PC2ともに8点お持ち帰りください。
[ 松頼成之 ]功績点 : 8
[ 掛井四辻 ]功績点 : 8
すのだ
はーい!ありがとありがと!
GM
両方とも継続できるので後遺症もお願いしますね~ TET振って判定です 四辻くんは錯乱なので確定で恐怖心増えます
松頼 成之
TET 情動分野ランダム特技表(9) > 《怒り/情動9》
掛井四辻
TET 情動分野ランダム特技表(9) > 《怒り/情動9》
GM
急に仲良しぶるね君たち
掛井四辻
今更仲良しぶってる……
松頼 成之
最初から仲良しだったろうがよ!!(ほんとに?
GM
掛井くんはファンブル6です 頑張ってね 松頼さんは3
掛井四辻
ファンブル6だね~ゲラゲラ
松頼 成之
ええとここから判定ですね…!
松頼 成之
普通の判定でも6以下ザラだったんですけど…w
掛井四辻
2D6>=8 (判定:笑い)後遺症判定 (2D6>=8) > 8[2,6] > 8 > 成功
松頼 成之
2D6>=6 (判定:驚き)後遺症判定 (2D6>=6) > 8[2,6] > 8 > 成功
松頼 成之
なかよしか????
掛井四辻
なかよしだね~
GM
松頼さん追加なし。掛井くんは錯乱分のみ1つ
GM
哀しみの隣接4つから好きなのを選んでね
掛井四辻
じゃあ《恨み》でお願いします。いつか恨まれても仕方ないな~と思いつつ、それは本質的には怖いな……という気持ち!
松頼 成之
(じっとり)
GM
雨降ってて関節バキバキだな……というわけで全行程終了となります お疲れ様でした!
掛井四辻
キャラシ更新更新~
お疲れ様でした! 本当にありがとうございました~! とてもよい経験でした……面白かった……
松頼 成之
まじでおだいじの落雷気を付けてね!!!
ありがとうございました…おつかれさまですよ!!!
GM
一応言っておくとPCの精子が普通にネタバレになるのでほどよく……
GM
最悪変換やめろ
掛井四辻
最悪の誤字www
松頼 成之
wwwww
GM
生死です!!!!!!!!生死!!!!!!!!精子は確かに使われてるけど!!!!!!!!
掛井四辻
んふふふふ
松頼 成之
とりあえずハッピーエンドでした!!!!!ってことでw
松頼 成之
使われてるやめろやめろ!!
GM
ログはおいおいDiscordのほうに置いておきますね 全部取れるかな(心配)
松頼 成之
はいな!はいな! こっちでもログ一応は取ってるので出来る範囲でログ化しときやす!
掛井四辻
はーい! ありがとうございます!!
GM
このGM怠惰だから最後に一気取りしかしなくて……
掛井四辻
でも発言回数自体はそこまで多くないと思うから全然だいじょぶな気がするな……
松頼 成之
ふふ、だいじょぶだいじょぶ……!
長かったけどね、ゆっくりロールなひとびとだから…
松頼 成之
ひとまずはオールアップ!おつかれさまでした!!!!
GM
結構シナリオ的な意味でも改善点がたくさん見つかったのでこちらとしてもよかったです おつかれさま~解散解散!!!!!!!!
松頼 成之
こうしてブラッシュアップされてゆくのね……センキューの散!!!
掛井四辻
ありがとうございました!! 解散~